Activity Reports超域履修生による、ユニークで挑戦的な活動のレポート。

授業レポート | 超域イノベーション総合


企業・地域が連携した、持続可能な「ものづくりのあり方」を提案せよ

2024/5/20

課題提供者:株式会社⽊幡計器製作所/Garage Taisho /⼤正・港・⻄淀川ものづくり事業実⾏委員会

■活動概要&成果

活動概要

かつて「東洋のマンチェスター」と呼ばれた大阪湾岸エリアは“ものづくりのまち”として栄え、今もなお様々な業種のものづくり企業が集積し、その技術力と伝統が息づいています。しかし、近年、産業構造の変化により企業の休廃業が増加しており、ものづくりのあり方にも変化が求められています。本課題では大阪府大正区を対象地として、ものづくりへの体験および制作機会を創出し、魅力を発信する事業提案を行うことで、ものづくりを軸に据えたまちづくりの実現を目指しました。

企業と地域が連携した新たなものづくりのあり方とは?

大正区では公民連携による「大正・港・西淀川ものづくり事業実行委員会」が主体となって、ものづくりの体験やイベントを通じて、地域の魅力向上やものづくり人材の確保、人と人とのつながりを醸成することを目的とした活動が展開されています。一方で、こうした活動がまちづくりの中核として持続的に機能する段階には至っておらず、ものづくり企業や区民、行政を巻き込む仕組みづくりが求められました。
履修生チームは現地調査を経て、大正区には多様なものづくりの技術が存在し、区民のものづくりやまちづくりへの関心が高い一方で、ものづくりと区民の接点が少ない点に着目しました。

大正区を“もの”で満たす「ものづくり甲子園」

ものづくりをより身近に感じてもらうための体験価値を創出することができないか。調査を進める中で履修生チームは、2013年以降、継続開催されている大正ものづくりフェスタには多くの子どもたちが参加し、区内企業におけるオープンファクトリーや工場見学会には課外授業や修学旅行の生徒が数多く訪れており、「ものづくり」と「子ども」との間に繋がりが形成されていることを発見しました。そこで、大正区のものづくりが企業向けであり、区民の興味を引くことができていないという短所と、ものづくり企業が教育機関や子どもたちと積極的な交流を図っているという長所を掛け合わせることで、大正区を“もの”で満たすことを構想しました。子どもや学生に焦点を当てた「ものづくり甲子園」を展開し、ものづくりの魅力発信や区内外への認知度向上、様々なステークホルダーによる運営、そして事業の継続による地域活性化等、持続可能なまちづくり方針につながるアイデアを提案しました。

■課題提供者からの声

大阪大学の超域イノベーション博士課程プログラムの取り組みに関与できたことを大変光栄に思います。このプロジェクトは、大阪市大正区に根ざしたものづくり企業と行政が連携し、地域固有の課題を解決するための新たなイノベーションを生み出すことを目指しました。学生たちの鮮やかなアイデアと、彼らの持つ技術的知識が、現実の社会課題解決に繋がる可能性を見せてくれたことは、私たち、ものづくり企業にとっても大きな学びとなりました。この経験は、企業としての取り組みにも新たな視角をもたらし、より広範な社会貢献への意識を高めるきっかけとなりました。将来に向けて、このような学際的な取り組みが更に発展し、実社会におけるイノベーションの推進に貢献していくことを心から願っています。

■履修生チームの声

課題について、課題提供者とは異なる視点・立場からものづくりを含む大正区の複雑な社会課題を俯瞰し、課題を特定および評価して解決策へと導く経験を一気通貫で積むことができた。特に、①フィールドワークやグループディスカッションなどの共同作業を通じて、多様な分野の学生や産官民の実践家とともに協力してチーム活動をする機会を得ることができたこと、②自分のアイデアに対し独創的かといった観点から評価を得られる機会を得たことが今後の研究活動および超域での活動における糧となった。尽力頂いた皆さまに感謝の意を表します。

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