Activity Reports超域履修生による、ユニークで挑戦的な活動のレポート。

授業レポート | 超域イノベーション総合


新たな価値を地域にもたらす廃校施設の活用策を提案せよ

2024/5/20

課題提供者: 豊能町役場

■活動概要&成果

活動概要

継続的に進行する少子化は国家全体から地域社会に至るまで様々な影響を及ぼしています。小中学校の統廃合はそのひとつであり、全国の小学校数はこの20年で約2割の減少を見せています。このため廃校施設の利活用が多くの地域で課題となっていますが、学校施設は教育機能のみならず地域コミュニティの核として様々な機能を併せ持っています。本課題では、大阪府豊能町の廃校予定施設について、社会的機能の維持や地域振興への貢献など、複眼的な視点を含めた廃校施設活用策の提案を行いました。

構造的な人口流出

地域に資する活用策の提案に向けて、学生チームがまず取り組んだのが地域課題の分析でした。大阪府北部に位置する豊能町は、豊かな自然と都市部に隣接する立地という特性から子育て世代の移住が多いという特徴を持ち、若年層については転入超過となっています。一方、大学進学や就職に伴って20代前後の転出が非常に多く、このことが豊能町全体の人口減少に繋がっていることが見えてきました。大学や企業の誘致は短期的には難しく、また誘致により子育て世代が求める地域像との乖離が生じかねないというジレンマがありました。そこでこのチームが着目したのが高齢者でした。

高齢者による地域活性化モデル

人生100年時代において定年退職後のセカンドライフは人生の1/3近くを占めます。充実した生活と職を得て高齢者が活躍する場を形成し、高齢の移住者を多く呼び込むことで豊能町の人口維持と地域活性化を実現できないか、というのがこのチームのアイデアでした。
その核となるのが廃校施設を活用した高齢者Labです。この施設では、高齢者は趣味の充実や新たな職のための技術習得など、様々な「授業」を受けることができ、また自身のスキルを生かして講師になることもできます。高齢者や講師が地域の内外から集まることで自然にコミュニティが形成され、また行政や社会福祉施設との連携により情報の共有、スムーズな介護への接続といった効果も見込むことが出来ます。このようにして安心してセカンドライフを歩める地域に変化していくことが、このチームの描く豊能町の将来像でした。高齢者を活力源とみなし、少子高齢化時代に適応した新たな地域活性化モデルを提示した点で価値ある提案になったのではないかと感じます。

■課題提供者からの声

今年度も、本町の課題に取り組んでいただき感謝いたします。提案にあたっては、本町の人口推移や動向などの洗い出しや提案に至るまでの過程、並びに具体的な事例も出してもらい、「東ときわ台小学校における高齢者大学(高齢者Lab)」という提案をしてもらい、そこで出てきた諸問題(PRの手法、食事処等)については「光風台小学校に道の駅」を活用していくといった、発想力は素晴らしいと感じました。本プロジェクトは、社会に出てからも活かせる研究内容かと思いますので、また次年度もお願いしたいと考えております。

■履修生チームの声

このプロジェクトは、少子高齢化がキーワードとなり、豊能町に限らず、我が国全体が長らく取り組んできた社会構造変革の最前線に位置していました。実社会の課題に対処する一環として、多岐にわたる視点から1年間を通じて取り組むことは、将来の発展をけん引する立場として非常に有意義な経験でした。この過程で、課題の本質やステークホルダーの期待、解決策の実現可能性を多面的に分析し、評価することの重要性と難しさを痛感しました。また、提案内容が高く評価されたことは、大きな自信となり、今後の活動の基盤となるでしょう。

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