Activity Reports超域履修生による、ユニークで挑戦的な活動のレポート。

授業レポート | 超域イノベーション総合


循環型社会へ向けた「ごみゼロのまちづくり」をデザインせよ

2022/7/1

課題提供者: 吹⽥市環境部 環境政策室

行政・市民・企業が三位一体となった効果的なごみ削減の方法とは。そして将来を見据えた環境負荷の少ない循環型社会とは。本課題では個別の問題解決や技術的対応だけでなく、社会全体を俯瞰した総合的な施策をデザインしました。

■活動概要&成果

活動概要

 「ごみゼロ」の取り組みは世界各国で進められていますが、その多くは積極的なごみ削減に留まっており、持続可能性を伴った社会システムへの転換が求められています。
 履修生チームは、将来を⾒据えた循環型社会の構築に向けて、歴史や国内外の先進事例を把握し、未来予測及び理想像の設定を⾏うとともに、環境教育等、市⺠への啓発のあり⽅などを含んだ包括的な施策の提案を行いました。

「循環型社会」の構築とは

 これまで私たちの生活は物質的な豊かさを獲得してきましたが、そのために必要な資源やエネルギーは人口増加や経済成長とともに増大し、結果として深刻な環境問題を引き起こしてきました。そこで、持続可能な社会を実現するために、ライフスタイルやビジネスモデルの転換による循環型の経済社会を構築することが急務となっています。
 課題提供者である吹田市は、人口減少社会の中において人口増加率が高く、また、2050年にはごみ焼却場の建替も予定されています。こうした状況下で、吹田市ならではの「循環型社会」とはどのようなものか、そしてどのようにして吹田市という枠組みに捉われない「ごみゼロのまちづくり」が実現できるのかを検討しました。

「ごみゼロ」の再定義による施策デザイン

 本課題に取り組んだ2チームは、「ごみ」の定義を見直し、資源としての価値を再定義できるかどうか、すなわち有価物であるかどうかに着目しました。そして「ごみゼロ」とは有価物としてのごみを全てリサイクルすること、ごみの価値を転換することと捉え、有価物の売買が可能なプラットフォームや、インセンティブにより3R行動を促進させるエコポイントシステムを提案し、行政だけでなく、企業や市民を巻き込んだ新たな社会システムの構築を目指しました。また、有価物を除くごみを最小化することにより、焼却場の小規模化や共同施設化、リサイクル施設の増設などの提案が行われました。

■課題提供者からの声

 『循環型社会へ向けた「ごみゼロのまちづくり」をデザインせよ』というテーマのもと、循環型社会の実現を目指したごみ削減のための総合的・効果的な施策について検討してもらいました。このテーマはごみという身近な課題であり、かつ普遍的な問題であり、各自治体が試行錯誤を繰り返している中で、本市としても学生の若く新しい視点で画期的な施策を提案して欲しく、設定しました。結果として、今後の施策として大いに検討の価値がある提案をしてくれたと思っています。最終発表に至るまでに、学生の方々は非常に苦労されたことと思います。いくつもの施策を考え付いては、深堀りし、多面的に検討を重ね、時には白紙に戻ることもあったと思われます。その繰り返しの中から、これだと考えるひとつの施策を示してくれました。
 本市職員も同じで、様々な事例を調査し、可能性を模索して、検討を重ね、最後に最善の施策を決定するこの繰り返しを日々行っています。これから社会に羽ばたく学生の皆様にとっては、今回の経験が役立ち、より実りある人生になることを心より願っております。

■履修生チームの声

 ●チーム1: 提示された課題に対して、まず何を『ごみ』と考えるかが我々にとって大きな課題だった。何度もその定義を練り直す作業に注力し、議論は発散と収束を繰り返した。この工程がなかなかしんどいところではあったが、主軸となる『ごみ』の定義が固まり始めると、月一回の進捗報告会におけるフィードバックの助けもあり、今まで出てきた細かなアイデアなどが次第に統合され、うまく収束していく流れに入れた。議論の発散と収束のイタレーションの重要性を体感できた。

 ●チーム2: 本課題は、行政への提案であるという点で様々な制約を受けた状態での提案が求められており、民間事業者や市民を巻き込んでいく官民連携やビジネスといった今日的な課題解決策が求められた。我々の提案は「ゴミの価値転換」という、ある種概念的な要素を多分に含んでいるため、具体的提案に落とし込む際に非常に苦慮したことが印象的である。実際の施策として駆動させるためのシステムや資金の循環などを地域の実情から形にする経験は今後の研究や社会的活動の糧となると確信した。

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