Activity Reports超域履修生による、ユニークで挑戦的な活動のレポート。

授業レポート | 超域イノベーション総合


ビジネスエリアの未来を考える

2020/3/30

ビジネスエリアの未来を考える

課題提供者: 竹中工務店

1986年に「世界に開かれた国際情報都市」を掲げて街開きをしたOsaka Business Park(OBP)。現在梅田北ヤードの再開発やなにわ筋線の建設構想が進められる中でこの地区の相対的な魅力の低下の克服が課題となっています。さらに今日、新しい働き方が検討される中、社会やビジネスの姿も日々変わっていきます。このような状況を視野に入れ、2036年の街開き50周年に向けて、OBP地区の将来構想に取り組みました。

■活動概要&成果

活動概要

今年度の課題はOBPというビジネスエリアのエリアマネジメントに関するものでした。この課題に取り組むために、履修生チームはOBPの関係者へのヒアリングを中心としつつ、OBPを取り巻く歴史的・経済的・社会的文脈を横断的に調査しました。また、本プログラムBasicコースで培った分析手法や、本授業内で学習した方法論も活用し、将来構想の構想およびその評価を行いました。

Osaka Business Parkの抱える問題

今年度の履修生チームは、解決されるべき根本的課題として、OBPの企業内で明確なビジョンが共有されておらず、またそうした共有を実現するための協働的な関係が形成されていない、ということを指摘しました。企業間の交流を促進し、ワーカー同士のコミュニティを醸成する活動として、OBP協議会はすでに「にぎわい創出活動」に取り組んでおり、大阪を訪れる観光客をOBPにまで誘致する企図などが提案や実施はなされてきているものの、根本的課題に対する有効なアプローチとはなっていない、と分析しました。

新しい教育フレームワーク「School of Public Business Osaka」の提案

以上の根本課題を解決するために、履修生チームは、知の共有によるワーカー間の協働的関係の構築を提案し、その具体案として、新しい教育フレームワークを提案ました。提案内容は、2025年に隣接地に新たな大学の新キャンパスが開校されるという外部要因を構想に取り入れ、同大学と連携した学びの場「School of Public Business Osaka」をOBP内に敷設し、近隣住民や学生がともに学び合う教育機関を設立する、というものになりました。それによってステークホルダー間の交流が促進され、OBPに協働的関係が構築されていく、という将来構想を提示しました。

ビジネスエリアの未来を考える

■履修学生チームの声

「未知で複雑で困難な課題を解決する」(本授業シラバスより)ために費やしたこの8ヶ月間は、文字通り紆余曲折のある道のりでした。我々のチームは、研究分野もこれまでの人生経験も人一倍異なる、多様なバックグランドを持った学生から構成されていました。本授業のようなプロジェクト型演習(PBL)の醍醐味の一つは、全員が当事者になれることにあると考えます。自分自身を課題に当てはめながら、アイデアを出し合えることは貴重な経験でした。しかし、価値観や課題の捉え方が大きく異なる場面も多く、議論が平行線を辿ることが多々あったことも事実です。この困難に立ち向かうべく、我々は次の二点を心がけました。一点目は、都度合意形成を図ることです。与えられた課題を解決するために行う議論は多岐に渡ります。その際、方向性に誤りはないか、異論はないか、逐一クリアにしながら議論を進めていきました。二点目は、各人の個性とスキルを織り込むことです。我々は、境域における異種の交わりにこそ、イノベーションの萌芽が見られると考えます。各々が持つ面白い視点と知識がどう交われば、課題解決につながるのか、主観的かつ客観的に考えながら、アイデアを模索していきました。もちろん毎回の授業で学ぶ課題解決のための方法論、教員やティーチング・フェローからの助言、課題提供企業の思いも大きな力となりました。今後も各分野で、課題解決のためのイノベーティブな総合力養成を続けていきます。

■ 課題提供者の声

エリアマネジメント(略称:エリマネ)は現在全国的に脚光を浴びているが、成功している事例は好立地に恵まれ、潤沢な予算を得られるケースに限られます。今回は厳しい立地条件下にあるOBPにおいて、エリマネによる地域の活性化に挑んでもらいました。エリマネ団体事務局はじめ関係者との対話や会議へのオブザーバー参加は得難い経験になったのではないでしょうか。最後に”School of Public Business Osaka”という提言が実際にOBPの活性化に結び付くことを期待しています。

■ 履修学生チームの声

今回は概念的なものを相手にするという課題の難しさに加え、チームメンバーは国籍・専門ともに多様であり初期の議論は大変混沌としていました。チーム内では二人の留学生に対して日本人学生が議論をリードすることが多く、多様性を生かしきれていないもどかしさをいつも感じていました。そのような中、この総合の授業ではどうすれば多様性を生かした取り組みができるのかということに悩み、先行きが不透明な議論に不安を感じることもありました。多様性を生かす、合意形成を図るということは終わりのない旅だと思いますが、今回の総合プロジェクトでは粘り強く前に進んでいけばチームでの活動は活性化しメンバーは成長するということを実感できる機会でもありました。

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