Professors & Lecturers様々な分野の教員が履修生の学びを支援します。

プログラム特任助教辻田 那月Tsujita Natsuki

専門分野
応用生理学・健康科学、特別支援教育
担当業務
選抜審査・選抜広報
担当授業
超域イノベーション総合
研究関心
場面緘黙と自閉スペクトラム症との関連、場面緘黙児のwell-being、場面緘黙症状の評価方法

研究紹介

私はこれまで身体的・精神的・社会的に満たされた状態であるwell-beingに関心を持ち、自律神経、身体活動や運動、食事、メンタルヘルス、発達障害、不登校など幅広い分野をテーマに取り上げ研究を行ってきました。最近では、話す能力があるが特定の場面では話せないという場面緘黙に関心を持っており、特に場面緘黙症状と自閉スペクトラム症傾向の関係に着目した研究を行っています。

■場面緘黙とは?

場面緘黙とは、「話す能力に問題がないにも関わらず、園や学校など特定の場面では話せない」という症状を特徴とする不安症です。場面緘黙の子は家ではよく話すことができ、また学校でも問題行動を起こすことは少ないため見過ごされがちです。しかし場面緘黙の子は話せない以外の問題を抱えていることもあり、支援を受けないままでいると行き渋りや不登校につながったり、また話せるようになったとしてもコミュニケーションや人間関係の苦手さが残ったり、と様々な困難さにつながることもあります。実際に成人になっても場面緘黙の症状や二次障害に悩んでいる方も少なくありません。一方、場面緘黙はまだ十分に社会に認知されておらず、相談をしても、「放っておけば治る」、「気にしすぎ」などと言われることもあり、支援体制が整っているとは言い難いのが現状です。

■場面緘黙親の会

研究だけでなく、自身も場面緘黙の子を持つ保護者として、任意団体「場面緘黙親の会」の副代表を務めています。場面緘黙がまだ十分に社会に認知されておらず、場面緘黙を持つ子ども達が適切な支援を受けられていないという現状を改善するべく活動しています。このような活動を通して、ゆくゆくは場面緘黙が広く認知されていくことで、場面緘黙の子が早いうちに認識され、スムーズに相談先につながり、そして適切な支援を受けられるような社会になればと考えております。

場面緘黙親の会Webサイト

私にとっての超域とは?

私は大学在籍時には多様な学問を学び、企業でのインターンや国際交流事業への参加など様々な経験をしてきました。また大学院在籍時には出産・育児を経験し、我が子が場面緘黙と判明してからは、場面緘黙を取り巻く多くの社会課題に直面してきました。現在は保護者兼研究者という立場から課題解決に取り組んでいます。超域では場面緘黙のみならず様々な社会課題に対し、これまでの経験を活かした、私にしかできないアプローチを追求していきたいと考えています。

超域生へのメッセージ

社会課題の解決に取り組む際には、様々な知識や経験を持つ人たちと協力する場面が出てきますが、そのような時には、相手の立場を理解し、常に相手を尊重しながら連携することが必要です。時には自身の専門性が通用しなくて悩むことや、相手と意見が衝突することもあるかもしれません。そのような場面でも、常に他の分野を尊重し、理解しようとする姿勢を持ち続けることにより、柔軟性を身につけ、新たな視点を持つことができると思います。私自身も社会課題に取り組み続けている者として、一緒に寄り添って考え、サポートしていきたいと考えています。