授業レポート
海外フィールド・スタディ “Cross-Boundary Exchange for Social Innovation”
2021/8/23
授業担当教員:金森サヤ子(COデザインセンター/国際共創大学院学位プログラム推進機構)、小川歩人(国際共創大学院学位プログラム推進機構)、河森正人(人間科学研究科)
Text:金森サヤ子(COデザインセンター/国際共創大学院学位プログラム推進機構)
■コロナ禍における初のオンライン型海外フィールド・スタディ
超域イノベーション博士課程プログラムにおける海外フィールド・スタディは、これまで、異なる専攻分野から構成される履修者が6〜10名程度で一つのチームを形成し、教員による引率と、協力団体・大学との連携により実習が行われてきた。グローバル化する現代社会の中で、訪問先における地域特有の課題、或いは、グローバルな現象と結びついた社会的課題の把握を体験的に行うと共に、それらの課題の解決への足掛かりとなる議論や調査を、現地関係団体と協働する形で経験できるようデザインされている。これらの活動を海外で教室外の環境において行うことを通じて、履修者の多文化理解力を拡充すると共に、英語ならびに現地語を実践の場で駆使することで、コミュニケーション力を押し広げる機会としてきた。
しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、2019年度に予定していた海外への渡航を伴う海外フィールド・スタディの実施は困難となってしまった。この当時は、次年度へ繰り越すことで再び渡航可能となるものと想定していたが、依然パンデミックが続いていることから、本年2月、超域8期及び9期の本履修生、計11名が合同で、オンラインでの海外フィールド・スタディを実施することとなった。
これまでの海外フィールド・スタディでは、渡航先と協力団体を決定した後、担当教員が事前調査(下見)を実施した上で、実際の海外実習を実施してきた。他方、2019年度以降、事前調査の実施すら困難となってしまったため、今回のオンライン型海外フィールド・スタディは、直近の2018年度の海外フィールド・スタディの協力団体と共に、バリ島(インドネシア)を対象地域としたオンラインでの海外実習を企画することとなった。
初のオンライン型海外フィールド・スタディは、本年2月に6日間終日連続で実施された。渡航型との大きな違いとして、全ての実習期間にインドネシア全土で社会課題解決に取り組む同世代の社会人、計9名も参加した。また、バリ島やインドネシアにおける社会課題のみならず、日本における同様の社会課題の現状についても、共に学ぶことで、超域生のみならず、インドネシアからの参加者にも新たな学びが得られるよう設計した。
■オンライン型海外フィールド・スタディからの学び
今回のオンライン型海外フィールド・スタディを通じて、国境を越えて、異なる文化や価値観に向き合う姿勢を体得すること、また、学生が各々の専門性を生かしながら、グローバルな諸問題の解決に向かって何が出来るのかを考え、それらに実践的に取り組む礎を築くこと、そして、自分たちが生まれ育ち、慣れ親しんだ社会や文化を客観的に捉え直すという、本科目の目的は一定程度達成できたものと思料する。
もちろん課題も残るが、ポストコロナ時代の新たな海外フィールド・スタディのあり方について検討する良い機会となった。
実際の活動内容や、そこからの学びについては以下の報告書を参照いただきたい。
「2021年度 海外フィールド・スタディ報告書」
“Overseas Field Study:Cross-Boundary Exchange for Social Innovation 2021”