Activity Reports超域履修生による、ユニークで挑戦的な活動のレポート。

授業レポート | 自主実践活動


専門技術の新興国での展開可能性にチャレンジ!

2016/2/2

Text: 工学研究科精密化学・応用物理学専攻 井上裕毅

ブルネイにおけるオンサイトセンシングニーズの模索と、その場検出型バイオセンサーのプロトタイピングと実践

ブルネイのダルサラーム大学にて、「超域イノベーション実践」の活動として、現地の研究室と共同研究を行いました。この活動での課題は、ブルネイにおけるバイオセンサーのセンシングに対するニーズを模索し、そのうえで発見したセンシングの現地ニーズと適正技術に応じたセンサー装置のプロトタイプを作成し、提案することです。ブルネイという国は、経済的に比較的豊かで昨今は産業創出に力を入れています。イスラム教の国でもあるので日本とは違う文化に触れたいという思いもあり、活動場所に選びました。

私が当初想定していたセンシングを必要とする分野は、水質汚染、医療、重金属汚染でした。ブルネイでは、まず、分析化学の研究室に所属し、課題について教員とディスカッションを行いました。そこで環境学の教授を紹介され、ブルネイの重金属汚染の問題を知りました。重金属の測定には設備や費用、技師不足など多くの問題があり、その場で簡単に重金属を検出できる装置の必要性を感じました。そこで課題を重金属測定に設定して研究活動を行うことにしました。

研究に必要な試薬と装置をリストアップすると、入手に3ヶ月以上かかることが判明しました。日本では1週間以内にほぼ揃いますが、ブルネイでは薬品はすべて輸入する必要があり、政府などの承認が必要です。輸入には長ければ1年以上掛かるときもあるそうです。日本との研究環境の違いを思い知らされました。

ブルネイ滞在の準備は大変でしたが、現地の研究環境や文化など多く学ぶことができたと考えています。また「超域イノベーション実践」の活動後半は、ブルネイでの課題を日本に持ち帰り、日本国内の重金属測定の研究開発をしているベンチャー企業で継続しました。