Activity Reports超域履修生による、ユニークで挑戦的な活動のレポート。

授業レポート | 自主実践活動


円滑な医療政策立案のための実践的検討と国際比較

2020/3/31

Text: 歯学研究科 口腔科学専攻 石川明日香

超高齢社会を迎える日本では医療システムの転換が急務となっています。その中で各地域の特徴に沿った政策作りが求められています。このような状況下で私は、地方公共団体が医療政策と保健医療サービスの構築に至るプロセスの中で各関係機関とどのように連携をとり、情報収集から実際の活動に至るのかを把握し、一視点を提案したいと考えました。さらに、歯科・口腔保健専門職がこれらの医療・保健課題にどのようにかかわっていけばよいのか、自身のキャリアパスの探索を最終的な目的としました。これらの目的を達成するために、私は厚生労働省医政局地域医療計画課と神奈川県立保健福祉大学政策研究センターにてそれぞれ1か月のインターンシップ、また海外との医療システムや現状の比較を行うためスウェーデンにて3週間の聞き取り調査・現地調査を行いました。
インターンシップでは部署の担当する政策策定にあたり必要なデータや事例の収集・分析、議事録の作成等を行いながら、課題のとらえ方について国と地方公共団体の双方の視点より学ぶことができました。厚生労働省では地域医療構想の担当部署に所属し、適正な医療資源配分に向けた医療提供体制の構築の検討に関わり、神奈川県では未病をテーマに健康と病気を連続的にとらえることで治療の必要が生じる前の段階に位置するあらゆる県民に対して意識の向上と対策を講じる政策に関わりました。その中で未病指標の作成や活用にあたり、どのように口腔保健や歯科医療の特徴を生かしたらよいか提案をしました。スウェーデンでは、研究科での研究対象である、口腔ケアと誤嚥性肺炎に関わる実態の聞き取り調査・現地調査を通じて当該分野に関わる各ステークホルダーの現状や思いについて知り、口腔内状況の良いスウェーデンでの課題や日本との違いを見つけることができました。

自主実践にて行った活動は、本プログラムを通して得た経験や考え方があったからこそ実現されました。今回の自主実践活動を行う直接のきっかけとなったグローバルエクスプローラに加え、Basicコースにて専門に留まらない多様な社会課題を学び自身の専門や関心とのつなげ方のトレーニングを行ったことで歯科という専門の適応先を広げる可能性を模索し続け、今回の実践のテーマにたどりつけたと感じています。また、フィールド・プロジェクトや超域イノベーション総合にて具体的な社会課題を用いて各ステークホルダーを意識した課題の発見や解決にむけた論理的思考の実践、海外フィールド・スタディで学んだ現場の声を聞く重要性や海外でのインタビュースキルは特定の研究科に留まるだけでは得られない、今回の自主実践活動だけでなく今後の人生につながる本プログラムの大きな醍醐味でした。