Activity Reports超域履修生による、ユニークで挑戦的な活動のレポート。

プロジェクト型授業(イノベーション総合)
地域振興を実現させる観光誘客施策を提案せよ

2025/4/25

課題提供者: 豊能町役場

■活動概要&成果

活動概要

近年、日本全国で中山間地域における過疎化や産業の空洞化が社会課題となっています。地域における人口減少はインフラ維持への悪影響や空き家の増加による景観の毀損など様々な困難をもたらすことが知られており、各地で多様な地域振興策が講じられています。本課題では、大阪府豊能町の吉川地区について、豊能町の地域振興を目的とした施策の提案を行いました。

「静かなにぎわい」

提案にあたり、学生チームはまず豊能町を訪問し、現状分析を行いました。そして、地域住民の「静かに暮らしたい」という希望に寄り添いつつ、行政が求める「にぎわい」の創出を目指すこととし、「静かなにぎわい」をコンセプトに設定しました。このコンセプトのもと、地域住民にとっての精神的な静かさを守りながら、騒がしさを抑えた環境で人々のつながりを深め、趣味を通じて精神的な豊かさを追求することを目指しました。
続いて、広島県鞆の浦、秋田県五城目町、香川県高松市を視察し、各地域のまちづくりの取り組みや観光戦略について学びを得ました。視察を通じて、豊能町における「静かなにぎわい」の創出には、物理的な交流スペースの整備やステークホルダー同士の横のつながりが重要であるという考えに至りました。

エリアの特色を活かした場の創出

吉川地区の特色をもとに3つのエリアに分け、それぞれの活用策を提案しました。まず、飲食店や観光案内所が集まり、多くの人が行き交う妙見口駅前は、「豊能町の玄関口」と位置づけ、魅力の集積と発信を担うエリアとして開発を提案しました。また、地域住民にも馴染み深い吉川小学校跡地は、観光客が集まる「みんなのリビング」となる複合施設とし、観光客と地域住民の交流の場となることを目指しました。さらに、福祉施設やギャラリーがあり、初谷渓谷への登山客も訪れる吉川保育所周辺では、観光者が「泊まって、食べて、自然に触れる」場を創出することを提案しました。
これらの提案により、地域の特色を活かしながら住民と観光客が調和する場を創出し、持続可能な地域振興につながる点で価値ある提案になったのではないかと感じます。

■課題提供者からの声

今年度も、本町の課題に取り組んでいただき感謝いたします。大阪大学との超域イノベーションの取り組みは、3年目となりますが、各種法規制や地域の実情を踏まえてしまい良い案が出てこない職員と違って、学生ならではの提案が出てくるので、いつも、驚きでいっぱいです。今年度のテーマは、「旧村地域における賑わいの創出」として、観光誘客施策の提案をお願いしたのですが、課題の洗い出しの中では、「賑わいを求める住民」と「静かに暮らしたい住民」との相反する意見に対して、「静かな賑わいの創出」というキーワードを打ち出して、他府県の事例を参考に提案していただきました。
この数ケ月間における皆さんの研究の取り組みは、社会に出てからも役に立つ内容かと思いますので、この経験を大事にしてください。本町では、上記以外にも様々な課題があるため、また来年度もお世話になりたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。

■履修生チームの声

本プロジェクトは、課題の複雑さ、チームとしての活動の難しさを含め、一筋縄ではいかないものでした。それでも、着実に議論を重ね、最後には、長期的な視野で豊能町の持続的な活気に資する施策を提案することができました。これは、今後社会変革を先導していく私たちにとって、より広く日本、世界の将来を考えることにも繋がる、非常に有意義な経験となりました。また、それぞれ専門分野や考え方の大きく異なるメンバーで長期間チームとして活動することを通して、学際的な活動における実践力の向上や知見の獲得を行うことができました。今回の経験を今後の更なる学修、価値の創造に活かしていきたいです。

Related Posts