Career path修了生インタビュー

高田 一輝

出身研究科
工学研究科
専門分野・領域
環境工学(下水処理技術)
現在の所属・役割
株式会社 三菱総合研究所 サステナビリティ本部
分散型エネルギーソリューショングループ
環境・エネルギー分野に係る政策コンサルタント業務
キーワード
下水道、水素エネルギー、DX、ファシリテーション、
マルチタスク

2017年度修了生

博士人材として社会に出ることについて、大学院での研究内容との関わりや今の仕事を選んだきっかけ、博士人材だからこそ社会に提供できる価値など、感じるところをお聞かせください。

 私は現在、官公庁や民間のお客様に向けた、環境・エネルギー分野のコンサルタント業務に従事しています。主な業務内容としては、官公庁への政策提言や民間企業への新規ビジネス提言を目的とした、情報の収集・整理とそれに基づく分析・考察・企画立案などが挙げられます。私が扱うテーマには、下水道、水素エネルギーの二つがあり、最近では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に関するプロジェクトも増えてきています。
 大学時代には、環境工学の専門家として、下水中に混入した難分解性有機物の処理手法を研究していました。そのおかげで、下水道分野での業務においては、技術的にかなりマニアックな話題でも理解でき、特に学術界や技術者の方からの情報収集に役立っています。他方、入社後には下水道関連の政策や法規についても勉強し、お客様である官公庁の方とも会話できるようになってきました。専門を一定水準まで極めた領域があることで、お客様と情報源をより密接に結びつけられていると感じます。
 今後に向けては、このような機能を発揮し続けられるよう、研鑽を重ねることが重要と考えます。博士人材といえども、大学での学びは放置すれば数年で陳腐化します。継続的に最新の情報を仕入れ、場合によっては、自身の得意分野を新規に開拓していくことが求められるでしょう。

大学院生活とその後のキャリアパスに対して超域プログラムが果たす役割について、超域での学びが就職活動や現在の職務へ与えた影響や、履修によって生まれた新たな視点や考え方などがあれば教えてください。

 私が超域プログラムで学んだ内容は、「マルチタスク」と「ファシリテーション」という、現在の業務にも繋がる二つのキーワードに集約できると考えています。いずれも、通常の研究活動だけでは身につきづらく、超域でこそ身についたと考えるものです。
ここで「マルチタスク」とは、「いろいろなことに関心を持つ」という意味で用いています。超域では専門以外にも、経済学、哲学、法学など様々な分野で一線級の先生方にご講義をいただきましたが、そのおかげで、専門外の分野でも物怖じせず取り組めるようになりました。現在の業務でも、水素エネルギーやDXといった、新しい領域を開拓中です。中には、「下水道業界のデジタル化推進」というように、専門分野と新しい分野が程よく混ざったプロジェクトもあります。
 また、「ファシリテーション」とは、「いろいろな人から効率よく意見を引き出す」という意味合いです。超域では、チームを組んで社会的課題に対する解決策を提言するという通年の授業がありましたが、そこでのメンバーとのディスカッションや関係者へのインタビュー活動を通じて、意見の引き出し方を体感していきました。現在の業務でも、これがほぼそのまま、社内ディスカッションや社外ヒアリングなどにおいて役に立っています。

日々研究に励みこれから社会へ飛び立つ超域生に一言お願いします!

 研究に励みつつ「マルチタスク」にも果敢に挑む皆さん、身に着けた好奇心・探求力と企画調整能力はどこかで役に立つと思います。博士人材として、一緒に社会を支えていきましょう!

(2020年11月)