Activity Reports超域履修生による、ユニークで挑戦的な活動のレポート。

授業レポート | 超域イノベーション総合


人びとが集う魅力ある駅前広場のデザイン

2018/2/2

課題提供者: 大阪市都市計画局

なんば駅周辺は、現在、大阪市都市計画局を中心として再開発の計画が進められています。この課題では、交通の要所としての現在の広場の機能を維持しながらも、訪れる人にとって情報発信とコミュニケーションの場となるような駅前広場を新たにデザインします。

■活動概要&成果

なんばとその周辺の変化

なんばは、大阪を象徴する「ミナミ・エリア」への入り口として広く知られています。しかし、近年相次いで着工された阿倍野・天王寺やうめきたなどの再開発によって、大阪の他の地域と比べて、利用者にとっての難波エリアの魅力は相対的に低下しつつあります。さらに、2031年に予定されているなにわ筋線が開通すると、難波駅は、関西国際空港から関西圏の各都市へと移動するための「通過点」となってしまう恐れもあります。このプロジェクトでは、こうした近い将来に到来が予想される難波駅周辺の変化を分析しながら、広場のデザインにとってコアとなる問題意識とコンセプトを確認するところから始まりました。

入り組んだステークホルダー

駅前広場の再開発は、現在、大阪市が中心となって進められていますが、この事業に関係するアクターは他にも多く存在しています。各鉄道会社や、広場に面した大型百貨店、また地元の商店街や近隣の住民など、それぞれの立場によって広場への思い入れや期待は異なっています。一方で、歴史的にみれば、民間資本や地元商店が主導となって街が形作られてきたことこそが難波という地域の最大の魅力であり、「なんばらしさ」を残した広場のデザインには、効率性や機能性だけではない、人々の思いをくみとる必要があることに徐々に気づきはじめました。近隣商店や利用者へのインタビューなど現地調査を重ねることになり、同時に、多くのステークホルダーが関わるからこその再開発の難しさを肌で感じ取ることにもなりました。

仕組みとしての広場

広場のデザインには、空間のデザインだけでなく運営形態のデザインも含まれています。そこで、駅前広場の管理運営を行っている先行事例の検討や視察を通して、なんばの現状にあった実現可能な運営方法についても議論を重ねました。最終的には、約8ヶ月に渡る調査と検討の成果を踏まえて、想定されるステークホルダーのそれぞれに対してメッセージ性をもちうる工夫を盛り込んだ、広場の空間とその使い方をひとつのコンセプトにまとめて提案することになりました。また、行政を中心として現在進められている整備事業が終了したのちにも持続可能な広場の運営ができるよう、人材、財源、組織のありうる形態についてのアイデアを盛り込みました。

■履修学生チームの声

この授業は、分野の異なる履修生が集まって実社会の「現場」での課題について解決を行っていく授業で、現場の問題について読み解き、それぞれの分野の知見を活かしながら課題解決を果たしていくことが求められます。授業を通して思ったのは課題の現場を詳細に読み解いていくこと以上に、会議室での会議がどれだけきちんとできるのかが重要だということです。会議がきちんとできたときは次にやるべきことが見通せ、現場での調査もうまくいきます。しかし会議がきちんとできなかったときは、何も決まらず、現場でなにもできませんでした。「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ」というセリフがありますが、何か意味のあることを起こそうとするには会議がとても重要だということを身をもって知りました。グループワーク等においてチームで何かを決めるという機会もさることながら、グループワークを円滑にするためにどのような努力が必要かを考えることも大切だと感じました。実社会では至るところで会議があり、相手と妥協したり、強く主張したりしながら、なにかを決めなければなりません。また、会議で決めたことをきちんと実行することも求められるでしょう。この授業は、「グループを円滑にまとめながら」課題を解決する力を鍛えることができ、普段集まって何かを決める、それに従って実行する、という行動に慣れていない私達にとって良い機会でした。

■履修学生チームの声

大阪市都市計画局 佐藤 明子

近年、公民連携での公共空間の利活用が活発ですが、その実現のためには整備・運営段階でのそれぞれの役割分担や、法的課題の整理など、様々な課題を解決する必要があります。これらについて、私達とのディスカッションにとどまらず、実際に地域に足を運んで地域住民や来街者の声を聴きながら、駅前広場の実現に向けて、専門域を超えたメンバー間での議論を踏まえた柔軟で興味深い課題解決策をご提案いただきました。プロジェクトは一旦終了となりますが、引き続き、なんば駅周辺が変わっていく様に興味を持ち続けていただき、応援いただければと思います。