Activity Reports超域履修生による、ユニークで挑戦的な活動のレポート。

活動レポート
ランチタイムを活かしたコミュニケーションの場づくり
―「超域への扉」活動レポート―

2020/11/26

執筆者:沈 吉穎(言語文化研究科)

 組織内のコミュニケーションは多様な知を共有する上で重要なツールです。また、それは新たな知を探究するための基盤になるとともに、専門の壁を打ち破り、知と知の融合を構想していくことに欠かせない要素でもあります。現在、新型コロナウイルス感染症の影響で対面でのコミュニケーション機会が制限されており、組織内のコミュニケーションを如何に維持し、活性化するのかがますます重要な課題となっています。
 そこで私たちは、超域プログラム内の履修生および教職員の間で研究内容への相互理解を深化させ、イノベーションの創造を促すために、グループ型自主活動「超域イノベーションプログラムにおける多分野の共存をもとにした組織内コミュニケーションの活性化に関する試み(代表:言語文化研究科 超域2018年度生 岡田茉弓)」を企画しました。今回は本活動の一環として開催している、研究交流会「超域への扉」の活動を紹介いたします。

活動概要&成果

 「超域への扉」は超域の授業が集中している金曜日、そのランチタイム(12:30〜13:20)に開催しています。その構成は、最初の20分程度で発表者が自分の研究や関連する話題を紹介し、残りの時間で参加者が自由に議論するというものです。本活動は、専門知識を参加者に教える場としてではなく、発表者が他分野の人に研究内容を分かりやすく伝えること、そして、参加者が自由に、そして気軽にディスカッションすることに主眼を置いており、様々な研究分野について理解を深める場を目指しています。
 「超域への扉」は11月6日で、11回目を迎えました。前半はオンラインで実施していましたが、後半からは登校制限の緩和によりオンラインと対面を併用しています。これまで、教員5名と履修生6名が登壇しており、その専門分野は、工学、理学、文学と多岐に渡るものでした。各回の発表に関する情報は、下記の表または本活動報告ページからご確認ください。取り上げられた内容をいくつか紹介すると、「建築・都市デザインの系譜」、「地球外の海を探せ」、「文化を仲介する『母親』」といった専門的な研究内容に加えて、コロナ感染拡大の影響による休校の長期化を受けた学業の遅れを取り戻す策「9月入学の賛否」などホットな話題にも広がり、大変有意義なものとなりました。

表:第11回までの発表タイトルと発表者

 発表者のご協力で多数の興味深い発表テーマが用意されたことに加え、事前の登録や申込みは不要、開催前日には発表資料を共有する等の参加者の負担を軽減する仕組みを取り入れた結果、ランチタイムの限られた時間ではありますが毎回平均で約20名の参加がありました。また、発表後に設けられたディスカッションの時間では、「複合材料はリサイクルなどによる再利用は可能なのでしょうか」といった専門性の高いものから、「数理最適化の話は社会課題解決の方法論としても応用可能ですか」という分野を超えた応用の可能性を探るもの、さらには発表者の研究背景に関する「文理融合の研究を行うに至ったきっかけはなんでしょうか」というものまで多様な質問が発せられ、幅広い議論が展開されました。

写真1:Zoomを用いたオンライン形式による発表の様子

活動参加者の声

 「超域への扉」開催の後には毎回アンケートをとっており、参加者からは、「設計工学という学問の可能性・魅力を示してくれた」、「今回のお話を通じ、利他主義はもっと広く理解されるべきだと改めて思いました」、「専門的で難解な部分はありましたが構成と流れはとても頭に入ってきやすいものでした」など多くの感想が寄せられました。参加者にとっては興味関心を広げ、深めるきっかけとなったほか、発表者にとっては専門外の人にも自分の研究について理解してもらうために必要な工夫を学ぶ機会にもなったようです。また、発表者の研究に対する姿勢に共感を覚えたり、励みになったりすることもあったようです。例えば「社会に貢献されたい、社会を変えたいという思いで、社会のために研究を続けられている姿勢に極めて感銘しました」、「強いシンパシーを勝手に感じております、お互い頑張りましょう」というような声が聞かれました。本活動を通して、参加者の間で切磋琢磨しながら学問に励んでいこうという意思が強化されたことは、期待を上回る成果であり、「超域への扉」を実施する上で新たな意義を見出すことに繋がりました。さらに、発表内容への理解を超えて、「発表の各所に発表者の人柄が現れているのを見て嬉しく、かつ楽しくなりました」、「学生の研究背景や考え方が見えてくると、他の活動もやりやすくなるように思います」など、発表者の人柄や考え方を知ることができたゆえの期待、喜びの声も寄せられました。今後、本活動の実施によって超域プログラム内でのグループワークやプロジェクトなどの共同作業がより円滑に行われることで、相互理解の促進やイノベーション創出のさらなる進展が期待されます。
 このように、本活動を通して参加者は様々な視点からの学びを得られたようです。その一方で、「昼休みのランチや休憩との時間調整は難しいのでは」、「教員、スタッフの参加率が高く、学生が所属数に比して参加率が低い気がする」といった運営の改善点に関する声もありました。これらの意見を運営チーム内でよく検討し、これからも誰もが参加しやすい環境づくりを工夫しつつ活動を継続して参ります。

写真2:対面とオンラインのハイブリッド形式による発表の様子

運営チームの声

 コロナの影響下でオンラインと対面を織り交ぜながらの対応に苦労することもありましたが、ディスカッションやチャットでの質問、アンケートなどを通して、参加者が教員や学生といった枠を超えてつながる姿を見られることは何より嬉しいです。今はまだわずかではありますが、こうしたつながりが新たな研究やプロジェクトへと発展しそうな兆しもあり、確かな手応えを感じています。また、この活動を続けていくことは、超域プログラムでは教員や学生、あるいは学年間での交流が当然のように行われていることを印象付けることにもなり、現在の履修生や将来的に入ってくる履修生にとっては本プログラムに携わる人々と交流する際の精神的な障壁をなくす役割を果たすことも期待されます。
 グループ型自主活動「超域イノベーションプログラムにおける多分野の共存をもとにした組織内コミュニケーションの活性化に関する試み」として、後期はテーマトーク会やボードゲームなどを含めた「超域の森」も開催しており、さらには研究内容についてより深くインタビューする「超域人」も始まっています。「超域への扉」と併せて、皆さんの積極的な参加をお待ちしています!

この活動は、超域イノベーション博士課程プログラム「2020年度 グループ型自主活動支援」による活動支援を受けて実施されています。
活動報告ページ:http://www.cbi.osaka-u.ac.jp/communication/

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