Career path修了生インタビュー

井上 裕毅

出身研究科
工学研究科
専門分野・領域
応用物理、ナノバイオ工学
現在の所属・役割
ICH事業推進本部 凝固事業推進部
神戸の事業所
企画戦略系
キーワード
グローバルな思考法、多趣味、好奇心旺盛、
当たって砕けろ、ストイック

2016年度修了生

博士人材として社会に出ることについて、大学院での研究内容との関わりや今の仕事を選んだきっかけ、博士人材だからこそ社会に提供できる価値など、感じるところをお聞かせください。

 現在医療機器の業界で仕事しています。研究内容がバイオセンサーでしたので、医療機器で社会に貢献したくこの業界を選びました。その中でもグローバルに展開する会社、海外と関わる仕事ができそうな会社を選びました。
 学生時代に、研究以外でスタートアップに興味を持ちスタートアップ系の研修やセミナーに参加していたのは良かったと思います。資金調達から知財、マーケティングまで、研究室で研究をしている時には気づきにくい、「なぜこの研究をしているのだろう?」という疑問に対して深く自分の研究と社会のつながりを考えることができました。
 博士人材も様々いるかと思いますが、固定概念に捉われることなく自分の強み・こだわりをしっかりと持つことが大事です。博士課程での研究や専門性を企業活動にそのまま活かすことを期待されることは稀です。もっと広い意味で博士課程人材を捉えていくことが社会に価値を提供できる人材になれるのではないでしょうか。

大学院生活とその後のキャリアパスに対して超域プログラムが果たす役割について、超域での学びが就職活動や現在の職務へ与えた影響や、履修によって生まれた新たな視点や考え方などがあれば教えてください。

 超域プログラムに興味を持ったきっかけは、博士課程の学生が分野を超えて集まることに強い刺激を受けました。私は、カナダのトロント大学では、脳神経科学部コースを受講していました。このコースでは脳という臓器とその役割を、生物学、化学、物理学、心理学、社会学など多面的に捉えて、それぞれの分野の授業を受講するという形式のコースでした。学部時代から、分野を超える学問やその面白さを感じていたため、超域プログラムの案内が来たときは迷わず応募することができました。大学院では理系の研究室なのに、超域で社会学や人間科学の学生と交流できることは自分にとってプラスに働くと直感で感じていたのです。
 いざ超域の授業が始まると、超域生の個性が強すぎて、足並みのそろった一体感は感じませんでした。当時は、ディスカッションをしても、その方向性や達成したいことを理解するのに苦慮しましたが、卒業した後に振り返ると、それが良かったのだなと感じることがあります。ばらばらの意見をまとめるだけでなく、何を聞いてどう整理し、異なる二つの意見を両立させるか、自分の意見をどう発言して伝えるか、などがディスカッションの本質としてあったのかもしれません。ここでの経験は仕事でのディスカッションでも活きていると思います。

日々研究に励みこれから社会へ飛び立つ超域生に一言お願いします!

 社会人になると色々と自由時間や行動範囲に制限がかかります。学生の内にできることを精一杯して、ご自身の将来の指針としていただけたらと思います。学生時代は興味や色々とやりたいことが散漫になりがちですが、「やりとげる」ことを大切にして、有限な時間という資源を有効活用してください。

(2020年11月)