■ ロシアで見えたのは、多様な世界の一端と超域生の本音

グループワーク(輔の班)

奥野:それでも、少しだけでもディスカッションの時間が取れてよかった。ロシア人と直接意見交換する機会が一番多かったのが、大学での二日間のワークショップだったと思うから。彼らと話してみてロシア人に対するイメージが変わったりはした?

関屋:ありきたりかもしれないけれど、ロシアの人はあまり笑わない寡黙なイメージがあった。でも実際に会ってみると、彼らも私たちと変わらない普通の学生だし、何よりめちゃくちゃ喋るじゃん!っていう(笑)

立山:ロシア人は英語も流暢だから、欧米の人と話しているときの感覚とそれほど変わらない感じを受けたね。

奥野:今回僕らがロシアを候補地に選んだ理由は、参加者のみんなに自分たちの知っている世界の多様性を広げてほしいっていう思いがあったんよね。いわゆる「途上国」とか「先進国」というくくりで考えれば、フィールド・スタディやプレ・インターンシップでその両方に行くことができていたけど、それ以外の軸で考えるとまだまだ超域生が知らなきゃいけない国、世界がたくさんあるだろうと。民族や思想が全然違う国とか。

鈴木:超域生はこれからグローバルに活躍するリーダーになることを求められているんだから、そのためには欧米と日本の比較とかいう直線的二極的な考えじゃなくて、世界の多様性を捉える感覚がないといけないはずだ、っていう話をしてたんだよね。こういう多様性の広がりっていう点について、ロシアに行く前と行った後とでは何か大きな変化はあった?

関屋:私の場合はロシアに限らず海外のいろんな地域に行く経験を通じて、むしろどこに住む人たちもみんな自分と同じなんだっていうことを学ぶことのほうが多い気がするな。どんな場所にも、例えばブータンみたいな山がちなところにもロシアみたいな寒いところにも、必ず人が住んでいて生活を営んでいるっていうことにまず驚かされるんだよね。習慣や考え方の違いはもちろんあるから、その意味では確かに多様性を感じるんだけど、生活を営むっていう基本はどこへ行ってもそれほど大きく変わらない。だから、今回もロシアに行ったことで、むしろそういう感覚が強化されたように思う。

奥野:たて(立山)はどうだった?帰国後に提出してくれた個人総括には、今回の企画で大きな学びがあったって書いてたけど。

立山:自分として大きかったのは、ロシア滞在という非日常の空間で、超域生同士で普段はできないような本音の話ができたってことかな。それぞれお互いに対して言いたいこととか、語りたい自分の将来のイメージとかがあるはずなんだけど、普段はそれを口にしないし、言う必要もないっていう感じになってると思う。それって同期の澤田が前に言ってた、「超域生同士が馴れ合いになって来てるけど、そうじゃないでしょ?」ってことと同じだと思うんだけど、そういう姿勢が今回この企画を通じて大きく変わった気がする。

奥野:その姿勢は、その後も継続できてるやろか?

立山:あの非日常空間だからできる話だったし、日常空間に戻るとやっぱりいつもの空気感に戻っちゃうけど、ロシアで一度ああいう話をしたっていう事実が、これから何年も続いてく超域生の関係の中でひとつのきっかけになったとは思う。例えばレイはロシアで、本当は自分でNPOみたいな活動をしたいけど、それができないもどかしさを持ってるって言ってたよね。それが聞けると、そういうことをしたいと思ってるんだとか、協力しようとか、一緒に考えたいなって思えたから、やっぱりそういうことを共有するのは価値があるんだと思う。

ロシアグループワーク(技術班)_8856

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