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インタビュア:
 逆に、超域プログラムや履修生に対して疑問に思った点などありましたか?

茂木さん
茂木健一郎_img02  そうですね…やっぱり領域を超えるってすごく難しくて、よっぽど関係者に熱意がないと難しいので、そこを本当に超えて欲しいなって思います。僕も人生をかけて領域を超えるってことをやっているんですけど、意外と難しい。だけど、そこからしか付加価値は生まれない。例えばMITの所長とか、大学を出ていないんだけど、「領域を超える」ことをきちんとやっていて。彼は、未来を考えるより今この瞬間に没入してイノベーションを起こせってTed Talkで言っていたけど、彼なんか「専門は何?」っていうぐらい広範な知識を持っている。そういう人が超域から出て欲しいなって思いますね。

インタビュア:
 専門性を持ちながら、広範な知識をもっていることが重要ということですか?

茂木さん
 うん。それは授業でも伝えたと思うけど、やっぱりイノベーションを起こすのはそういう人間なんだよね。世界のフロントランナーの人たちって、やっぱりどんなことに対してもある程度知識を持っている人が多いよね。そう考えると、大学って楽しくないですか?

インタビュア:
 そうですね、楽しいです。

茂木さん
 自分の好きなことを突き詰めるってね、楽しいよね。ほら、今日の授業でも話したけど、学問って意外と小さなところから大きな問いに繋がっていくからね。デート中のレストランでの意思決定(どうやって注文を決めるか?など)は、「エージェントが二人いたときの意思決定のプロセスがどうなっているか」という問いにつながるとか。君と彼女がいて、注文ていうすごくシンプルなことなんだけど…。


・・・ しばらく恋愛トークが繰り広げられる ・・・


茂木さん
 えっと…何の話していたんだっけ(笑)?

インタビュア:
 身近なところから学問が始まる…というお話です(笑)

茂木さん
 そうそう、案外身近なことが研究テーマになったりして。まぁ、僕は脳科学が専門だけど、脳科学って色んな分野と繋がっているからね。さっきも話した、複数のエージェントでの意思決定がどうなっているかといったこととも関連しているし。現代ではどの分野でも何かしら相互に繋がっていて、それを全体的に・総合的に捉えることのできる人がイノベーションを起こすんじゃないかと思いますね。


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インタビュア:
 本当にそうですね。一つの分野で完結することってないですよね。茂木先生が行ってくださった授業でもイノベーションについて新鮮な話が聞けました。

茂木さん
 あ、あと超域で課題かなと思うのが、ハッカー的存在がいないよね。つまり、だれかがアイデアを出すとすぐプロトタイプを作っちゃえる人。現代ではそういうスピード感がすごく大事で、そういうことが可能になると超域のプログラムの形態も変わっていくかもしれないよね。もちろん、男女比や国際性を見た限りでは多様性があるなとは感じたけれど。そういえば、超域って男女比もいいし、留学生も多いよね・・・


・・・ ひょんなことから再び恋愛トーク及び雑談が繰り広げられる ・・・


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茂木さん
 えっと、何を話していたんだっけ…(笑)現代社会におけるスピード感だっけ?いやぁ、あれだよ、今の社会にいたら、人生ってある意味でギャンブルだから。賭けの連続だよね。

インタビュア:
 どういうときに、そのような大胆な(イチかバチかの?)決断をするんでしょうか?

茂木さん
 それは、ぐっときたときでしょう!いや、でも難しいよね。たとえば「起業する」という決断をしたとして、僕もスタートアップに関わったことあるけど、起業なんて「これはいける!」と思っても大抵は失敗するから。だから起業をやりたい人は、夢をあたためるんじゃなくて、早めにやって失敗した方が良いよ。何回か失敗するとだんだん分かってくるというか。君も、もう明日起業しちゃったほうが良いよ。

インタビュア:
 明日ですか!?

茂木さん
 別にお金なんてそんなに使わなくてもできるじゃん。うん、人生全部賭けだよね。やるかやらないか迷うより、やってみないとわからない。僕だって、超域に関わった時間を他のためにだって使えたわけなんだけど、今回の出会いで将来何か楽しいことが起こるかもしれないじゃん。「あー、あの時のあいつか!」みたいなね。どこでどう繋がるかなんて分からないから。

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インタビュア:
 本当にそうですね!
 最後に超域生にメッセージを一言頂けますか?

茂木さん
 自分に厳しくあって欲しいですね。自分を鍛えるってことに対してどん欲であって欲しい。人間鍛えようと思えばいくらでも鍛えられるから、過酷な日々を過ごして欲しい。過酷だけど楽しいっていう時間を過ごして欲しいと思います。


『超域メディア論』の授業ではさまざまなソース(情報源)から最新のホットな幅広い情報を紹介していただきました。その授業を通して、英語の重要性や物事を批判的に見る視点、映像や画像を使った表現方法など多くのことを学ぶことができました。また、インタビューを通して、学際的な学びを得る際にも専門性の重要さを改めて実感する事が出来ました。そして、「大学は自分を鍛える場所」や「明日起業しちゃえば?!」など、刺激的な言葉を多くいただき、もっともっと自分に厳しくストイックにがんばっていこうと強くインスパイアされたインタビューとなりました。茂木 健一郎先生、熱いメッセージを頂き本当にありがとうございました!


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