立命館大学大学院キャリアパス推進室シンポジウム
「博士人材が創造する未来」

Texted BY: 超域イノベーション博士課程プログラム 広報SWG
      特任助教 山村 麻予

■はじめに

  大学院博士課程修了者の未来とは? −−博士人材のキャリアパスを、行政、有識者、当事者のそれぞれが語り、考え合うシンポジウム「博士人材が創造する未来」(立命館大学大学院キャリアパス推進室主催)が行われました。本プログラムからは、部門長・プログラムコーディネーターである藤田 喜久雄先生、そして12年度生 経済学研究科 佐々木 周作さんが登壇しました。

■シンポジウム概要

  第一部は基調講演として、猪俣志野氏(文部科学省高等教育局大学振興課大学改革推進室室長)、榎木英介氏(近畿大学医学部病理学教室講師)がご講演されました。猪俣氏からは、博士人材を取り巻く社会の現状や、社会で活きる博士人材を育成するための教育方針への期待について述べられました。榎木氏からは、より具体的な現状と今後の展望、専門性以外の博士人材が持つべき能力に関する指摘がありました。

  第二部は「博士人材育成に関する取り組み報告」として、立命館大学大学院キャリアパス推進室、同志社大学大学院博士課程教育リーディングプログラム「グローバルリソースマネジメント」、そして大阪大学博士課程リーディングプログラム「超域イノベーション博士課程プログラム」の各担当者および所属している学生からの報告がありました。本プログラムからは、藤田先生がプログラム概要を説明された後、佐々木さんが超域生の立場から活動紹介を行いました。超域での活動と自身の専門領域での活動において生じた相互作用にも言及された発表は、一期生として様々な経験を積まれたからこその説得力がありました。

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  第三部は「博士人材が想像する未来」という題目で、パネルディスカッションが行われました。ここには、藤田先生がパネリストの一人として登壇されました。各校の代表者や基調講演を行われた榎木氏とともに、博士課程在学中における大学院教育や修了後のキャリアパスについての議論が行われ、フロアとの質疑応答も盛り上がりました。

■博士課程を出て何になるの?

  大学院に進学する者、とくに文系と呼ばれる人文社会系の院生は、よく周囲の他者から尋ねられる、そして自分自身の内側から何度もわき上がる問いです。
  かつては博士課程修了後は、ほとんどの人がアカデミック・ポストを目指していました。しかし、現在では、アカデミアに限らず、幅広い社会に適応し、牽引する博士人材が求められています。高い専門性を持った人だからこそできること、その「できること」を遂行するための能力・スキルを身につけるための方法、そして、これらの方法を得るために必要な教育が求められているのだと改めて考えさせられました。
  専門性以外の、博士人材に求められる能力やその育成という課題については、現在の行政や教育機関において、試行錯誤しながら模索しているところです。今回、本プログラム履修生代表として行われた佐々木さんの発表では、プログラムでの活動紹介のみを行うのではなく、自分の専門性とリンクさせながら、超域をどのように「使い」、何を得てきたかという視点で行われ、今回提示された問題に対する一つの対応案として、フィットするものであったと思います。

  従来の大学院教育にはない教育プログラムとしての「超域イノベーション」は、現代社会が求める博士人材育成の一つとして、期待を寄せられるとともに、動向を見守られているのであると強く感じました。