■ 企画者の声 表現することとは、『心理的、感情的、精神的などの内面的なものを、外面的、感性的形象として客観化すること。また、その客観的形象としての、表情・身振り・言語・記号・造形物など。』とされています。私たちは日常の中で表現を用いながら生きていますが、その目的のほとんどは、『相手に何かを伝えるため』だと思います。 私たちは日頃、会話や文章により何かを伝えようと試みます。しかし、あなたが内面の表現として使っている『言葉』が相手にとっても同じ意味として受け止められる言葉とは限りません。例えば、あなたが使う『美しい』という言葉の意味と相手が想像する『美しい』とは同じものと言えるでしょうか。 私は花屋の息子として生まれ、フラワーアレンジメントをする機会もあったため、もので何かを表現することを好んでいました。そういった生い立ちから、大学では建築を専攻として選びましたが、設計課題などを重ねていく中で、自分の考えや思いを言葉や形のあるものとして表現することと、その作品を用いて相手に自分の考えを伝えるということの難しさを経験しました。そうした中で、私はフラワーデザインで用いられる表現の思考のプロセスに興味を持ち、花を用いたワークショップを行うことで、何か自己表現のための手がかりが得られるのではないかと考えました。

宮原卒業制作

卒業制作 タイトル『消えゆく境界の彼方』

<p フラワーデザイナーは競技会などで、与えられたテーマに対して作品を作ります。そのテーマ(言葉)をフラワーアレンジメント(非言語)に変換するために、言葉の意味を紐解き、形への手がかりを模索します。また逆に、形と向き合うなかで、その形のもつ表現の可能性を見つけることもあるといいます。そうした試行錯誤の中で生まれた作品には、美しいものである以上に、相手や社会に向けた言葉以上の表現の力が存在していると私は思います。 このワークショップでは、1日という限られた時間の中で、フラワーアレンジメントによる花を用いた表現に挑戦していただきます。ワークショップ参加者が、フラワーアレンジメントを行う中で自己と向き合い、他者との価値観の違いを認識し、人へ自らの思いを伝えるための表現を思考するきっかけになってくれればと期待しています。 人類は言葉を獲得するよりもずっと前から、絵を描いたり、ものづくりなどで『表現』を行ってきました。一緒に、言葉を花にのせた表現に挑戦してみませんか? みなさんのご参加お待ちしています。