インタビュアー:13年度生 岩浅 達哉
取材日2014年1月
■インタビュイー紹介
篠塚 友香子: 人間科学研究科 人間学専攻 現代思想
山脇 竹生: 理学研究科 化学専攻 タンパク質機能発現に関わる構造変化の研究
岩浅
超域の授業のことで 「授業の知識が役だったことありますか」って一期生(2012年度生)に聞いたことがあるんだ。そうしたら「超域の授業は知識を身に付ける時間というよりは意見を交換しあう場所だ」っていう意見をもらって。自分の意見を相手に伝えたり相手の主張を理解したりする練習の場なんだって考えたらなるほどって思ったんだよね。二人はどう?
山脇
確かに!そう考えるとその通りかも。超域の授業はやっぱり普段受けてきた授業とは違うし、少し特殊だよね。授業は基本5回、ディスカッションがメインで最後に成果報告って形が多い。ただでさえ回数が少ないのにインプットの時間も短くて、体系的な知識が身につくのだろうかと思ってた。知識を身につける、というか、知識をどう使うかを学ぶ場、という印象かな。知識に関しては本を読んで補強しているよ。議論の場があるからこそ、どういう知識が必要か、も分かってくるね。
篠塚
私も授業で「面白い!」と思ったことは、その後に必ず自分の思考に落とし込むようにしているよ。そのときに興味が湧かなかった内容でも、ある経験や行動がきっかけで役立つ知識になることもあると思うし、そもそも役立つ知識かどうかって授業時間内では見極められないよね。一期生(2012年度生)が指摘した「意見を交換する場」っていうのは確かにその通りで、私もその場を活用して、自分の意見をどのような言葉で、どのような順序で伝えたら理解してもらえるのかを考えて発言する力が身についた。考えすぎて発言のタイミングを逃すこともあるけれど(笑)
岩浅
超域授業中は色んな意見が飛び交っているね。でも最後のアウトプット時にはしっかり意見がまとまっていてすごいと思う。それぞれが、そういう力を身に付けてきているんだろうね。
グループディスカッションをする上で、気を付けていることはある?
篠塚
私は「意見間のバランス」を重視しているよ。専門や個人によって思考の組み立て方や議論の進め方に癖があるから、多角的な視点でディスカッションが展開していけるように意識しているよ。私は将来、複数の集団やセクターを結び合わせる架け橋のような人材になりたいと思っているから、このようなディスカッションにおけるバランス感覚は鍛えていきたいな。

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山脇
僕は「論理的一貫性」を重視してる。みんなの意見を取り入れることを重視しすぎると、例えば「海行きたいって人と山行きたいって人がいるから… 水着を着て登山しよう!」みたいな意味が分からない(笑)、結局は実行不可能な結果が出てくる。授業ごと背景や仮定が決まっているから、より合致するのはどちらか考えて、グループを論理的に納得させることが大事だと思う。超域で扱うテーマは、あえて人の価値観によって左右されるような、どっちがいいか構造的に決められないものを取り上げていることが多いけどね。そういう場合は、篠塚さんの言うバランスがより必要になってくる思う。
岩浅
「立場のバランス」と「論理的一貫性」か、それって研究科でやっていることの影響で、重視するモノが変わるのかな?それが超域っぽいね、何か関係ありそうだけど。
山脇
研究科の特徴かはわからないけど、うちの研究室では、論理性は徹底的に鍛えあげられるよ。研究結果と考察内容が矛盾してないか、一意に読み取れるか、この主張をいうにはどのデータが必要かって。うちは実験系だから、得られたデータに基づいていかに妥当な考察を導けるかをいつも考えてる。データに基づかなかったり矛盾したりする予想は研究室では許されないから、超域の活動でもその影響は出ているのかもしれないね。いい影響を与えていたらいいな。

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篠塚
私は週に一度、病院でフィールドワークをしているんだけど、そこで得られたデータを分析し、議論を展開していく。このような質的研究って、予め結果を予測して行うような研究ではなくて、得られたデータを徹底的に読み込んで、データの中もしくは背景にある構造を明らかにしていく必要があるんだよね。だから、ディスカッションの時も「どういった立場からこのような意見が生まれるんだろう」という意見の背景に注意が向くのかもしれない。
岩浅
なるほど、ディスカッションにもそういった個性が出ていて面白いね。いろんな視点を持った人たちと議論できるのは超域ならではのメリットだと思うから、それぞれの個性が伸びていったらいいなと思う。今日はインタビューありがとう!
篠塚
こちらこそ!今まで上げてきた記事が、超域にどんどん興味をもってもらうきっかけになればいいね!
山脇
今回のインタビュー、なぜか超域広報係の3人が集まったね(笑)。いままではどちらかというと、インタビュアーのほうが多かったから、結構楽しかった!
次回は一期×二期生のコラボをインタビューしていこう!