TEXT BY 生川 佳奈
研究科:生命機能研究科
専攻:生命機能専攻
専門分野:免疫機能統御学

 私は、プレ・インターンシップでフィリピン、タイ、シンガポール、香港を訪れた。プレ・インターンシップでアジアを選択した理由は、将来の世界市場はアジアに移ると認識したからである。将来製薬会社に就職を希望し、今現在発展している国を訪れて現状を把握したいと考えた。17日間の内の前半は引率の先生とのフィリピンの各都市を巡り、後半は、自身の専門にあった場所を訪れた。保険制度に関心があったため、公立、私立病院を回り、薬局のマーケティング調査を行った。
 フィリピンのマニラにおいて、貧富の差が激しく完全なカースト制が完成していた。一方で、フィリピンでも貧困率が高いエリアであるマライバライは、ローカルで小さいからこそ、行政と地方自治体との連携がとれていた。その貧困層に対して最大限のサービスを提供するシステムが組み込まれていた。大多数ではまとめることが困難でも、村単位にまで分解すれば保険制度においても機能しやすくなることを目の当たりにした。ヘルスセンターでは、村単位に何人の家族が住み、どのような家族構成か等詳しい情報まで把握している。病院で診断するためのお金の余裕がない人々にとっての病院として機能していた。
 タイやシンガポールでは所得によって、受けられる医療サービスが全く異なる。富裕層は私立病院で、ホテルのような綺麗な場所でリラックスして質の高い医療、サービスを受けることができる。一方で中間層、貧困層の人々は、診断の予約を取るために屋外で長時間待ち、診断時間は短く、質の低い医療設備、医療ミスが当たり前の治療を受ける。シンガポールは国による保険制度、福祉、年金の援助は行われず、自身で取りまとめなければならない。国により、重きを置いているものが異なるため制度も変わることを理解した。
 薬剤師の位置づけも国により異なった。他国の薬剤師免許でも処方しても良い国もある。薬局が病院の代わりとなっていることに驚いた。
 今回のアジア訪問で、各国独自の制度、システムがあることを体得した。各国には不十分な点があるからこそ、発展する余地はある。だからこそ、将来の世界市場となりうると感じた。自国と同じやり方を途上国に提供しても上手くいくはずがなく、その国にあったやり方を知り、理解することは当たり前である。しかしこの当たり前を今回の海外実習で、頭だけでなく身体の随まで納得することができた。
pl_narukawa シンガポールのマリーナベイホテルをバックに中東料理