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TEXT BY 丹羽 佑介
研究科:情報科学研究科
専攻:情報数理学専攻
専門分野:情報フォトニクス
     (これまでになかったようなカメラを作る研究をしています。)

私の将来とアジア

 今回のプレインターンで香港、ラオス、台湾を訪れた。初めに今回のプレインターンでなぜ私がアジアを選んだかを述べたい。私は情報科学研究科に所属しており、カメラに関する研究をしている。カメラ技術は一般消費者向けに販売されるものだけでなく、監視カメラ、内視鏡、MRIなど私たちの生活を支えるものとして広く応用されている。しかしこのような技術は発展途上地域で使われることが少ない。私は将来そのような地域で自分のスキルを活かした仕事をしたいと考えている。特にアジアの中にはこの数年でものすごい勢いで発展していくことが予想される国が多くあり、近い未来にそのような技術を使うことができる機会が大きく増えるのではないかと思われる。そのため私はアジアにフォーカスし今後自分が活躍できるフィールドを探すためにプレインターンでの渡航先としてアジアを選択した。
 今回のフィールドスタディで訪れた3箇所ではそれぞれ別の学びがあった。以下に場所ごとにどのような事を学んだかを報告する。

香港での学び

 3月27日〜29日は香港に滞在した。その間に香港医学博物館や国際金融中心を訪問した。最も驚いたことは想像を絶するほど密集して建っている高層ビル群と、地域全体にものすごい勢いがあることであった。それまでの私はGDPなどの数値から日本がアジアで最も発展した国であると思うようなところがあった。しかし、実際に香港の勢いを目の当たりにすると、数値だけでは判断できないことが多くあると感じた。香港は既に高度に発展しているという点で将来働きたいと希望している環境とは異なる。しかし、世界中からたくさんの人が働きに来ているという点で、将来の自分と何らかの関係が生まれる可能性があると感じた。

ラオスでの学び

 3月29日〜4月2日はラオスに滞在した。ラオスは今まさに発展しようとしている国である。一方でタイとベトナムという隣国と強くつながることでしか経済を維持できない状況がある。その中でタイやベトナムに頼らなくても自立させるために尽力する多くの日本人に会うことができた。具体的には一村一品運動というものを立ち上げ地域の活性化することで、国の自立を促している方や、日本の建築技術をラオスで活かす仕事をされている方からお話を伺うことができた。彼らはビジネススキルや建築の技術をもって、異国の地で自分のスキルを発揮し、その地域に大きな影響を与えていた。この出会いは私の将来に示唆を与えてくれたと思う。彼らの姿は私が将来ありたいと願う姿に近く、自分の専門性を用いて影響力の大きな働き方をしたいとより強く感じるようになった。

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台湾での学び

 4月3日〜12日には台湾に訪れ、自分の専門に近い分野の教授や学生とディスカッションをおこなった。訪問したのは台湾交通大学と台湾中山大学である。ここでの目的は、アジアの学生や研究者がどのように研究に取り組んでいるかを知ることであった。両大学とも台湾を代表する国立大学であり、学校内の雰囲気や設備、また教授や学生の研究に取り組む姿は大阪大学のそれと大きく違わないと感じた。どちらの大学でも「今後も協力して、連絡を取りあっていきましょう。」とおっしゃっていただいた。一方そのような時、「自分はここで何をできるか?」「自分がこの組織に入ることで組織をどのように変えることができるか?」ということを何度も自分に問うた。その結果、今の自分では専門力が欠如しているため彼らの役に立てないように思えた。自分の力では役に立てないことがとても悔しく感じられ、自分が活躍できる場所を得るためには誰にも負けない専門力が必要であると強く感じた。

プレインターンでの学び

 今回のプレインターンを通して、自分の技術を生かしてアジアで働きたいという将来の目標は、より強固なものになった。ラオスで働く日本人の姿は非常にかっこよく印象的なものであり、自分の未来像をより明確に描けたことが大きな収穫であった。同時に自分の専門力を磨き、それを使えるようになることが今の自分にとって何よりも大切であると感じた。現在の私が社会で活躍しようと考えた時「あまり役に立てないのではないか」という思いがどうしても拭いきれない。その思いを払拭するために必要なものは明らかに確固たる専門力である。 今回の悔しい思いを胸に、残された4年間を大切に過ごして行きたい。