再生可能エネルギー100%全世界キャンペーンのネットワーク構築及びナレッジデータベース構築を中心とした持続的な運営方法の提案(1期生 人間科学研究科・人間科学専攻 松村 悠子)

受入れ機関名:World Future Council / 環境エネルギー政策研究所
実施期間:2015年4月〜2015年11月

 私は、離島地域におけるエネルギー転換について研究を行っている。超域イノベーション博士課程プログラムでの活動がなければ、今、全く異なった立場から研究にアプローチしていたと考えている。つまり、研究テーマである離島地域の地域研究を基盤とした 研究アプローチに特化し、海外でのインターンシップを経験することもなければ、日本の過疎地域の現状を日本の地域開発学的視点を持って課題解決しようとしていただろう。

 イノベーション実践では、ドイツの国際NGO,World Future Councilでインターンシップを行った。国連の下部組織UNEPとも連携事業も実施するこのNGOは、「将来世代に必要な政策」について調査・研究・普及啓発・アウトリーチ等を行っている。私は、海外の事例研究と研究ネットワークの拡張を目的にインターンシップを行った。現地では、訪問研究員としてエネルギー転換の有効なアプローチの一つである100%エネルギー政策に関する研究に従事した。

 インターンシップの成果として、約75地域の事例に目を通し、国際会議の運営や報告書の執筆等を行った。上記の活動で必要不可欠な現場を重視する姿勢はこれまでの研究活動で獲得してきたが、研究活動に加えて実践活動を行う知的体力と行動力は、超域のベーション博士課程プログラムのカリキュラムによって醸成されたものであると考えている。これまで私が参画してきた超域の活動には、5回の海外研修、4件のグループ研究活動、5件の自主的研究予算獲得、各種ワークショップと多様なキャリア研修等がある。これらの活動によって、私はインターンシップやキャリアに対する認識を寛容にし、海外のステークホルダーとも対等にコミュニケーションをとるメンタリティを獲得したと考えている。

 イノベーション実践の職場では、1)日常的にグローバルな社会問題に向き合い、2)ライフワークバランスのとれた労働環境で、3)博士学位がプレゼンスを発揮した。残念ながら、日本の過疎地域において、博士人材のプレゼンスや評価は高くはない。履修生は、日本社会の現状に甘んじず、世界と日本の地域社会に貢献しうる博士人材として活躍したいと考えている。現在は、日本の研究所で研究員の職として、国内外の研究者や実践家らとの交流を継続している。さらに、離島地域の地域開発問題にも取り組み、地域おこしNGOの理事や離島での実証研究事業のオブザーバー等を務めることで、地域実践の経験を積み重ねている。

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