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TEXT BY 佐々木 周作
研究科:国際公共政策研究科
専攻:比較公共政策専攻
専門分野:オンライン寄付行動の実証分析

  2013年7月14日、祇園祭に盛上り始めた京都にて、我々超域イノベーションの履修生と、同じくオールラウンド型のリーディング大学院プログラムとして京都大学で実施されている思修館プログラムに在籍する履修生とで、第1回目の交流イベントを開催した。前々より親睦を深めてはいたが、本格的に議論し、お互いの価値観を交換する場を設けたいとの想いから、今回の開催に至った。

  3連休の中日にも関わらず、参加者数は総勢で30名を超え、当初想定していた以上に白熱したイベントとなった。第1回目の主催側である思修館のプログラム・コーディネーター、川井秀一先生より開会の挨拶を賜った後、超域イノベーションに在籍する佐々木と、思修館プログラムの履修生を代表して山脇さんが、それぞれのプログラムの活動状況について報告を行った。普段、説明会等で聞かれるプログラム紹介とは趣きを異にして、履修生としての実感が大いに伴った、非常に興味深い発表になったと感じる。また、お互いのプログラムに共通する部分、異なる部分を認識することができた。

  交流イベントの目玉として、共通テーマの下、4つのグループに分かれてディスカッションする企画を用意した。題目は、「もしも私がリーディング大学院のプログラム・コーディネーターだったら」。どのような人材を育てたいかという観点から、リーディング大学院プログラムを再度構想しようというものである。イベントの企画当初は、テーマとして社会問題を採上げることも考えていたが、参加者から、「もう少しお互いの価値観、特にキャリア観について意見交換できるものが良い」との声が挙がり、上記のように練り直した。


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  議論はまず、それぞれが将来どのような人材になりたいか、そのために各プログラムを卒業する4年後、5年後にどのような状態になっておきたいか、を共有するところから始まった。その後、社会としてどのような人材を育成すべきかという観点も含みながら、将来像を目指すにあたり現状のプログラムで足りている部分、不足している部分を洗い出し、新しく申請するリーディング大学院プログラムとして再度構想し直した。各グループの発表内容は、個の力とチームの力を分けて育成するという観点を押し出したもの、履修生が他者を人材育成する活動からさらに学んでいくことに焦点を当てたもの、社会人として持っておくべき倫理観などの養成が最重要と提起したもの、ネットワーク力が重要とされているが、ネットワークをどのように築き、維持していくかを教えるべきだと唱えたものなど多岐に渡った。発表後は、京都大学の大嶌幸一郎先生より、プログラム立上げ時の苦労話などを交えながら講評を頂いた。

  各プログラムの履修生から声を掛け合って生まれた交流イベントは、大いに盛り上がる形で開催することができた。それは一重に、第1回目の主催側として綿密に準備してくれた山脇さんを始めとする思修館プログラムの履修生の力に拠るところが大きい。本レポートのタイトルを「vol.1」としているように、第2回目は大阪大学で実施するなど、この繋がりを維持し、さらに深めていきたいと考えている。


  最後に、各グループのファシリテーターとして当日の議論を進行し、まとめてくれた以下の4名が、議論の感想やお互いのプログラムの印象を語ってくれた。また別の角度から当日の雰囲気を感じて頂ければと思う。

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■白石晃將さん(京都大学大学院思修館1期生,写真左):
  「超域イノベーション、思修館それぞれのプログラム内容に関して議論することで、互いのプログラムを見つめなおすことのできる有意義なグループワークとなりました。超域イノベーションには、自らものづくりを体験する『アクティビティ・ラーニング』やアポイントを取る過程も含めた『海外実習』など、行動力を磨くことのできる内容が多いという印象を受けました。これからもお互いに切磋琢磨し、よりよいプログラムを作っていきましょう。」

 

■今村達哉さん(京都大学大学院思修館2期生,写真左より2番目):
  「C班は『愛』をテーマにして、世界を旅するインテリジェンスを育成するという信念の下、『Intelligent Gypsy Program』というプログラムを考案しました。思修館からは、理想を掲げて、クリエイティブなアイデアを出そうという意見が多かった一方で、超域からは、面白いアイデアを考えた上で、実現可能性をしっかり考慮したいという意見が多かったように思います。質疑応答では、一斉に多くの手が挙がり、最も興味を持ってもらえたことを嬉しく思いました。」

 

武居弘泰さん
(超域イノベーション博士課程プログラム12年度生,写真右より2番目):
  「思修館の学生は超域の学生とはまたキャラクターが異なり、それぞれが違った強みや魅力を持っていると感じました。そのためグループディスカッション中は多様な意見が飛び交い、非常に刺激的な議論になりました。ユニークな意見も取り入れながら時間内に合意形成へ繋げられるかどうかはファシリテーターの力量であり、その点は今後も鍛えていかなくてはならないという反省点も見つかりました。これからも交流を続けながら切磋琢磨していけることをとても楽しみにしています。」

 

陣内裕成さん
(超域イノベーション博士課程プログラム13年度生,写真右):
  「思修館も超域も存在感のあるメンバーばかりで、とてもダイナミックなグループワークとなりました。誰の専門でもない議論に誰一人受け身にもならず、右に左に勢いのある議論に誰一人振り落とされることもなく、最後には新しいプログラムのコンセプトを創り上げることができたのです。『はじめまして』で知り合ったメンバーが、まるで4月から同じ場で学んだ同志のように『短時間でダイナミックに協働できる』というのは驚くべき体験でした。一履修生として、今後も面白いイベントを継続したいと心から思いました。」