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先入観を無くすこと

実際にアフリカに行ってから、自分にどれほどの先入観があったのか、アフリカをめぐる知識が如何に欠けていたのかがとても明確になりました。アフリカには54ヶ国(主権国家として承認されている国家数)もの国があるのに、私たちはしばしば大陸ごとにひとくくりに考えてしまい、そこに住む人たちも同じ文化や歴史を持つと考えてしまうことが多いのではないでしょうか。
今回のアクティビティーでは3ヶ国(ザンビア、南アフリカ、タンザニア)しか訪ねられませんでしたが、各国に歴史や文化だけでなく、異なる言語を有する独特なアイデンティティを持つ民族が多数存在しました。南部アフリカだけ見ても、私たちが思っている以上に多文化社会が存在しているのです。
そもそも、なぜ私はこのような先入観を抱いていたのか、その原因を究明するために、まず普段自分が住んでいる環境に目を向けました。日本で報道される国際ニュースの種類は非常に限られており、中でも、アフリカに関連するニュースの割合は、2010年12月から起きた「アラブの春」に関するものを除いて、極めて少ないと言えます。その事実を初めて知ったのは、大学院国際公共政策研究科が提供している「Agenda-setting」の講義を2012年度の後期に受けたときでしたが、アフリカに行くことにより、どれほど多くの情報が日本社会に知らされていないのかがとても明確になりました。「Agenda-setting」の授業でこの現象をある程度まで説明する要因や仕組みなどを学ぶことも有意義ですが、それだけではなく、情報不足が引き起こす誤解に注目し訂正することも、報道されない理由を分析することと同じぐらい重要です。街中で歩いている人たちに「アフリカにおいて紛争している国は多いと思いますか」と聞いたら、「多い」と答える人はきっと少なくないと思います。(もちろん正式な調査を行う際、この質問を調整する必要はあるでしょう。)アフリカをめぐるニュースの殆どは紛争についてのもののため、アフリカといえば戦争だというイメージを持つことは不思議なことではありません。しかし、領域内に争いが起きている国家数はそれほど多くなく、平和を保ちながら東南アジアのように発展を促そうとしている国家も多いのです。それとは逆に、死亡数が450万人(1998年以降)を上回るコンゴ共和国における紛争のことは、情報量の少なさから殆ど注目されていません。先入観、誤解、情報不足は不適切な判断を導き、そのときに必要とされる政策が提言されません。

アクティビティーを通しての目標 活動の流れ 先入観を無くすこと 最後に…