Activity Reports超域履修生による、ユニークで挑戦的な活動のレポート。

授業レポート | 超域イノベーション総合


持続可能な将来社会のための地域共創イベントの企画

2022/7/1

課題提供者: デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)

企業、⾏政、市⺠といった多様な立場、所属、関心をもった人たちが、誰⼀⼈として取り残されることなく、またわが事として社会課題と向き合えるような社会参画のプラットフォームの条件、そしてそれを体現するイベントの企画を考案しました。

■活動概要&成果

活動概要

 「持続可能な開発⽬標(SDGs)」は、2030年を⾒据えた国際社会の共通課題であり、そこで掲げられた17の⽬標・169のターゲットを達成すべく、現在世界規模で取り組みが進められています。本課題では、SDGsの理念とそこに含まれる課題を深く理解した上で、神戸市三宮周辺地区を対象として、持続可能な将来社会のために必要な地域の取り組みを創出する参加型イベントの提案を⾏いました。

「誰一人取り残さない」デザインとは?

 SDGsはいまや世界共通のスローガンとなっており、三宮周辺で活動する企業や行政でも当然それに関わる取り組みがなされています。ところが、それらは「貧困」「教育」「ジェンダー」「エネルギー」といった個別のテーマに分かれていることがほとんどで、SDGsへの取り組みが全体としてどんな社会を生み出していくのか、共通のイメージがあるわけではありません。聞こえの良いスローガンに流されるだけでは、むしろ本来の課題が覆い隠されてしまうといった批判の声も聞かれます。他方で、「誰一人取り残さない」は、SDGsの重要なメッセージであり、このメッセージを真剣に受け止めれば受け止めるほど、地域共創や参加型の意味も重く問われることになります。

普遍的な表現方法の模索

 このチームは、言語や人種、居住地域に限定されず、だれもが参加できるためには、既存の社会カテゴリーや言語以前の普遍的な表現形式を採用する必要があると考えました。そこで、人類の歴史とともに古くからあるダンス(体を動かすこと)に着目し、身体表現によって社会課題を表現したり、理解しあうことができないか、また身体を使って地域への参加を実感できないかと議論を重ねました。ダンスにもさまざまなジャンルとそれぞれの歴史がありますが、そうした個別の表現形式を越えて、多様な身体の交錯が新しい社会や地域のイメージを喚起できるような、複合的なダンスイベントを構想し、提案しました。

■課題提供者からの声

 ご縁をいただき、今回、たちが運営しているデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)から課題を提供させていただきました。KIITOでは、2023年度から2年に1回、KIITOが立地する三宮のフラワーロード周辺でSDGsをテーマにした地域共創イベントの開催を計画しています。そのイベントの企画案をプログラムの課題として提供させていただきました。履修生の皆さんから提案のあった「ダンス」をメインテーマとした有機的で、発展性のある提案は本当に素晴らしく、今後私たちKIITOのメンバーや周りのクリエイターたちと肉付けしながら豊かな形で実現したいと思える秀逸な案でした。講評会の際にもお話しましたが、今回のような「企画」に重きをおいたプログラムは、その実現のプロセスに関わることで本当の学びを得ることができます。学業との両立や大学とKIITOの物理的な距離など越えねばならないハードルはいくつかありますが、コロナ禍で定着したオンラインでのコミュニケーション等を活用すれば不可能ではないと思います。KIITOとしては、企画から実現に至るまでのプロセスで学生の皆さんに生きた学びを得ていただきたいと思っていますので、ぜひ今後のアイデアの実現にも参画いただければと思います。

■履修生チームの声(ZAT神戸チーム)

 「誰一人取り残さない」とはどういうことか、神戸の街を生かした魅力的なイベントはどのようなものか。考えるべき規模が大きく難度が高く感じた課題であった。本活動は全体を通して大きく二段階に分けられた。課題を再定義する段階、方針が定まってからの具体化に向けた段階である。
 前者については近年どこにでも掲げられるSDGsの見つめ直しやフィールド調査を経て、社会課題をみんなで解決するためのつながりに着目した。一段階目から二段階目までのギャップは想像以上に大きく、具体的な提案に至るまで困難を極めたが、結果的に本活動の根幹となった。中間報告会がターニングポイントとなり、以降は詳細な企画提案に向けての活動を行なった。研究と似ている面、全く異なる面、様々な貴重な体験となり、最終提案は多くの人が気軽に学べる形として十分将来性を感じている。今後もイベントの実現化に向けた活動に何かしらの形で関わっていきたいと考えている。

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