Activity Reports超域履修生による、ユニークで挑戦的な活動のレポート。

授業レポート | 自主実践活動


水不足を解消し、乾きのない社会を実現するために

2017/2/2

Text: 工学研究科環境・エネルギー工学専攻 高田一輝

米国カリフォルニア州における水不足問題に対する解決・適応策の提言

米国カリフォルニア州では、人口増加や気候変動の影響から、必要な水需要を自給自足できないという問題が深刻化しています。自身の専門が水処理工学であるという背景から、以前より水不足問題に関心を持っていた私は、「超域イノベーション実践」でこの問題に取り組むことにしました。拠点としたのは、カリフォルニア大学アーバイン校で、3ヶ月間滞在しました。研究室では、ろ過装置によって海水や都市下水を処理し水資源を生産することで、水不足解消に貢献する技術の開発が進められていました。

今回の活動にあたり、私は2つの目標を設定していました。第1には、社会問題を踏まえた研究提言を行うことであり、第2には、専門家として共同研究をするために必要な力を高めることです。今回の基本的な活動内容は大学での研究であり、この点においては日本でのいつもの活動と相違なかったのですが、研究テーマの設定が完全に自由であった点と、知らないメンバーとともに活動したという点において決定的な違いがありました。こうした環境の違いを、自身の成長につなげようと考えたのです。

まずは水不足問題の実相を把握したうえで研究テーマを設定するため、水不足問題に取り組む関係者へのヒアリング調査を行いました。その中で、海水や都市下水のろ過というひとつの技術だけに注目しても、海水・都市下水ろ過のどちらに力を入れるのか、生産した水資源は誰のものになるのかなどの意見対立が障害となって、組織同士がうまく連携できていないという実情を知ることになりました。そこで、技術的な側面から連携が促進されることを期待し、海水ろ過技術を改善するために開発された研究成果を都市下水ろ過にも適用できるよう「翻訳」する研究を実施しました。慣れない研究環境に苦労しましたが、結果として研究は概ね成功し、現在は論文化を目指しています。