Career path修了生インタビュー

鵜飼 洋史

出身研究科
生命機能研究科
専門分野・領域
分子生物学,細胞生物学
現在の所属・役割
ヤンマーホールディングス株式会社
技術本部中央研究所 基盤技術研究センター
ヤンマーグループ全体の基盤技術を生み出すための研究業務
キーワード
ガーナ、超域、基礎生物学、エネルギー変換、食料生産

2017年度修了生

博士人材として社会に出ることについて、大学院での研究内容との関わりや今の仕事を選んだきっかけ、博士人材だからこそ社会に提供できる価値など、感じるところをお聞かせください。

 私は現在,エネルギー変換,食料生産に関わる会社で研究の仕事をしています.
 大学院時代は基礎生物学の研究をしていましたが,研究内容にはあまりこだわらず,「超域」というキーワードで多様な領域を越境しながら仕事ができそうな会社を選びました.
 大学院時代には,自身の専門が他分野でどのように役立つ可能性があるか,ということを考えることを意識していました.社会に出ると,自身の専門ど真ん中で活躍できることはまれです.したがって,自身の専門性を他分野に応用できる力は非常に重要であると考えています.そしてこの力は,その分野を深くまで理解した博士人材だからこそ持つものであると信じています.
 私自身もエネルギー変換や食料生産の分野で,自身の専門というスパイスを効かせた独創的な方法で解決策を生み出すことができる人材になりたいです.

大学院生活とその後のキャリアパスに対して超域プログラムが果たす役割について、超域での学びが就職活動や現在の職務へ与えた影響や、履修によって生まれた新たな視点や考え方などがあれば教えてください。

 超域履修時に,自主的な実践活動(現:グローバルエクスプローラ)で西アフリカのガーナを訪問し,発展途上国における乳幼児のアミノ酸欠乏による低成長という実情を経験しました.栄養学や疫学の知見からはいくつかの種類のアミノ酸の欠乏が原因とされていました.しかし,私の専門である細胞生物学ではどの種類のアミノ酸が細胞の生育に影響を与えるか,という知見は当時ほとんどありませんでした.
 そこで,ガーナでの経験と自身の専門から発想し、20種類のアミノ酸のうちどれが細胞の成長に必要なのか、という疑問を持ちながらその後の研究を進めました.その結果、アミノ酸の一種であるグルタミンの重要性を証明することにつながりました.
 この経験は大学院時代に私が意識していたことを形にできたものと感じています.現在もこのことを意識しながらエネルギー変換や食料生産をキーワードに業務を行っています.

日々研究に励みこれから社会へ飛び立つ超域生に一言お願いします!

多様な専門性に触れることができる超域は,自身の専門が他分野でどのように役立つ可能性があるか,ということを考えるのにうってつけの場です.研究科と超域の両立は体力的にも精神的にもしんどいですが,この貴重な場を楽しんでください.超域での5年間はまたたく間に過ぎていきます.

(2020年12月)