TEXT BY 下 剛典
研究科:薬学研究科
専攻:創成薬学専攻
専門分野:核酸医薬品

【運営に関して】

ライフスキルトレーニング合宿において「スポーツ・ルール分野」のグループリーダーを務めさせて頂いた。
私達のグループの主な活動目的は3日間超域履修生が行うスポーツ種目の得点、順位をどのように決めるか考える事に加え、一部スポーツの種目選びやルールの設定、備品の準備など運営の補助・一部運営を行う事であった。

当初私達のグループが直面した課題は、「如何にして履修生のやる気を引き出すか」にあった。
当日合宿地に移動するバス車中においても明らかであったが、おおよそ半数以上の履修生が運動不足気味で、本合宿への参加自体あまり気が進まない様子であったからである。
この課題の解決策として、私達は「チーム」に着目した。本合宿では履修生20名を、体力差を考慮しながら、均等な力を持つように調整した4チームへ分け活動することが決定していたのである。そこで私達のグループは、チームへの思いを深め、チームにより貢献できるようにすることで最大限各個の力を引き出せるような仕組みを作りたいと考えた。

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チームへの思いを深める仕組みとして、種々ディスカッションを行った結果、チームカラーを選択できる事、リストバンド等のチームグッズを用意する事、また手描きでチームの旗を作製するというアイデアを得ることができた。またチームに貢献できるような仕組みとして、各チームで戦略的に点数を稼ぐ事のできるスポーツ種目を行うこととした。具体的な内容として「尻尾取りゲーム」に工夫を加えたものとし、チームワークが大きな比重を占めるルールを設定する事で実際大いに盛り上げることができたと自負している。更に競争心を一層煽る為、「賞品を充実させる事」とした。競技の勝敗の積算の他、生活習慣が集計され賞品を獲得できる仕組みも設けた。とても一人では考え付くことができない数々のアイデアをディスカッションの積み重ねにより得る事が出来た点はグループ活動の強みと、話し合いの場を設ける事の重要性を再認識する事ができた。

グループの具体的な活動内容として全体会議を通じて方針を決定した後、メンバーそれぞれに仕事を分担して円滑に準備を進めることとした。その間私は各自の進捗の確認と相談対応に努めたのだが、皆の働きのおかげでほとんど滞りなく準備を進める事ができた。一方で外部講師であるテコンドー元オリンピック代表選手の岡本依子さん、及びアスリートネットワークの元大阪ガス陸上部監督の山田明仁さん、陸上ホッケー元オリンピック代表選手の森本さかえさん、超域の先生方とも連絡を取り、備品をはじめとする事前準備を進めた。主に私が連絡を担当したが、皆さん多忙な中での調整であった事やメールを主な連絡手段とした事から、一部伝わりにくい点があるなど苦労した面が多かったが、今後企画運営を行う際には、如何にして自分の考えを的確に伝えるべきか、また相互に思い違いの無いよう不明点、不安点は早期に問い質すべきである等、様々なノウハウを得る事が出来たと思う。

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本グループ活動で困難を極めたのが、合宿当日の3日間である。自分達で一部運営を行いつつ競技、アクティビティにも参加するとあって、ただでさえタイトなスケジュールがよりハードなものとなった。また突然3日目に駅伝を開催する旨の連絡を受け、計画等の対応に追われるなど柔軟かつ効率的な運営が期待された。困難な状況に追い打ちを駆けるように駅伝開催に関する履修生の不満が爆発し、体力的に限界を迎える3日目に走れる訳がないとの意見も多数飛び出した。特にチーム力のバランスが問題視された。先に述べたように本合宿中のチームはメンバーの能力が均等になるよう振り分けされていたが、これは総合的な運動能力を基に検討がなされたものであり、持久力の差が極端に現れる駅伝の種目においては圧倒的な力の差が予想されたのである。私は履修生の意見に応え、駅伝において時間差スタートを決行する決断をした。陸上競技において時間差を計算する方程式など一般に存在しないが、自身の陸上の経験を踏まえ初日のスポーツテストで行った持久走の結果を元に予想される力の差を計算した。私が駅伝の計画に専念している一方、我々のグループ担当のイベントが数々進行していた。その為、それらの活動において私が十分に指揮を執れない状況に陥ることもいくらかあったが、グループのメンバーが積極的にリーダーシップを発揮してくれ、円滑に進行する事ができた。これも事前に繰り返し打ち合わせをし、グループの総意を皆で共有していた結果であると思う。
本合宿のグループ活動において私は、グループ行動におけるマネージメントを如何にすればよいかコツを学ぶ事ができたと考えている。

【地元小中高生との交流イベント】

交流イベントは2日目及び3日目に開催された。
両イベントは他の履修性グループが企画運営を行った。

2日目は履修生が4つのテーマに分かれて自身の経験を子供たちに語り、夢や希望を与えるという目的で行われた会であった。私は高校まで陸上部、大学ではサークルと地域のクラブチームでフルマラソン等の活動を続けてきた事もあり「スポーツ」がテーマのブースへ配置された。多くの子供たちが自分達に身近なテーマと言う事もあってスポーツブースへやって来てくれ、世代を超えてスポーツの話題は通ずるところが多いという事を認識する事ができた。しかし、スポーツの道を極めたわけではない自分達が子供たちに語ることのできる話題とは一体何なであるかという点が終始ひっかかり、結果として子供たちからも十分な反応を得る事はできなかった。スポーツを通じて「人のつながり」を得る事ができ、また「礼儀やマナーを守る事ができるようになった」等の点に触れながら話を進めたが、子供たちに夢を与える事ができたかと問われると今一つ自信が無い。この先リーダーシップを発揮する上でも、世代を超えて人を巻き込む事が重要となるが子供たちの関心を引く事の難しさを再認識できたと思う。

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3日目は陸上とテコンドーの基礎を学ぶことを通じて身体を動かす事の楽しさを学ぶという内容でスポーツ教室が開催され、その手伝いとして2人程度の小中学生に付き1人の履修生が担当、一緒に練習したり、アドバイスを与えたりした。私の担当は小学校4年生と中学2年生の男の子であった。自身の過去を振り返ってみてもそうであるが、小学生から中学生の時期は年上のお兄さんお姉さんと話をすることも恥ずかしく感じられるという時期であり、初めの内は打ち解ける事に大変な苦労をした。しかし、時間が過ぎるに連れお互いの性格や興味等が分かるようになり、更に繰り返しほめてあげると徐々に心を開いてくれ、話しかけても応えてくれるようになった。本スポーツ教室においてはスポーツの練習のみならず、目標の設定とその達成に向けた計画の立て方を学ぶという機会もあり、主催者のアスリートネットワークから配布された「チャレンジノート」という日記形式のノートを基に2人子どもたちと計画を立てた。将来の目標を実現する為に目先の課題を考え、意識しながら日々の生活を過ごす事が大切であるという内容で、この点は子供達に教えながら自分自身にとっても学びとなった。一見すると当たり前のことであるが、いざ自分の研究生活を振り返ってみると多忙の中で目先のタスクにばかり目が行き、先を見通した計画を立てる事を忘れてしまいがちである。これからも何度も繰り返して学んでいかなければならないと改めて痛感させられた。

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語句説明
ライフスキルトレーニング:
オリンピック経験者などのトップアスリートが身につけた体力増進スキル、時間管理スキル、目標設定スキル、コンディションニングスキル、コミュニケーションスキルといった、様々なライフスキルについて、世界のトップで闘ったアスリートが自身の経験を語る講義と学生参加型のディスカッション型講義を身につけることを目的としています。また、身に付けたライフスキルを研究し、社会でどのように生かしていくか、考えていきます。さらに講義に加え、合宿形式の授業も取り入れ、仲間と寝食を共にしながら、身体を使った様々なトレーニングを行うことで、違った世界観をもたせることを目的としています。

アスリートネットワーク:
http://www.athlete-network.jp/