■ 超域生は、多様で自由

:多分、研究科と超域では学生の思考がかなり異なると思うんだけど、 超域に入ろうと思ったのはなぜ?

渡辺:全体的にリーディング大学院っていうシステムが好きで。何か新しいことやってそうだなと感じるからですかね。あとリーディング大学院には、日本の大学院教育が抱えてる矛盾を解決しようという意思が感じられました。日本の大学院生って学費を払って、バイトしながら研究するじゃないですか。それが僕はあんまりよくわかんなくて。大学院生だって、研究に従事して企業と同じように新しいものを作り出しているのに、学生がお金払わなくちゃいけないっていうところに矛盾を感じてました。自分はそういう矛盾に耐えられないところがあって。

:それは学部生の時から感じていたの?

渡辺:そうですね。学部時代は京都大学に通っていて、その時の研究室でも優秀な学生は沢山いたんですけど、博士課程の学費は払えないし払いたくもない人ばかりで、結局誰も博士課程に残ろうとしなかったので、もったいないなと思っていました。その点リーディング大学院は、バイトをしなくていいように補助を出して研究に集中させてくれるので、理に適っているなと。

:その中で、特に超域を選んだ理由は?

渡辺:超域は自分の専門分野でも受けられると知って、専門が同じ先輩である金さん(超域2012年度生)に出願前に話を聞きました。超域は理系も文系も幅広くいる感じがあって、選抜試験で顔を合わせるときにもまた話が聞けそうだと思ったので、とりあえず受けるだけ受けてみようと思いました。

:なるほど。超域に受かった後に、プログラムを実際に履修しようと決めたのはなぜ?

渡辺同期の学生が面白かったからですね。面白さのひとつは意見をみんなちゃんと言うことです。この世には何考えているかわかんない人って多いなと思うんですが、超域生は考えてることをちゃんと語ってくれる人が多いです。あと僕の知らないこと知ってる人が多いことも理由です。同期だと、心理学とか映像を通した哲学とか、自分にとってもいつか役に立つかもしれない知識を持っている人が多かったので、そういう学生に触れて、知識を仕入れていくのは面白いかなと。

:その印象は、履修開始から1年半くらい経つ中で変化はあった?

渡辺:意外だったことは、忙しいわりにみんな自分の研究は堅実にやってるってことですかね(笑)。人は、知れば知るほど面白いです。こいつにはこういう話を語らせると面白い、とかがあるんですよ。例えば猪口さんはLGBTとか人権が関わる話、吉野は共産主義、櫛田は絵を描かせると独自の味を出してきて面白いですね。

:そういう話を渡辺君がわざわざ振ったりするの?

渡辺:そうですね。普段の雑談の時とかに。一般的な学生は長いものに巻かれる傾向があるんですが、超域生はそういうところがなくて好きですね。

:4期生、楽しそうやな(笑)。渡辺君は超域の同期の中ではどういう立ち位置なの?

渡辺:自分ではよくわかりませんが、クレヨンしんちゃんみたいな感じですね。なるべく正直に生きようとしてます。本能的に正直にならないとしんどいので。

:周りの超域生は正直っぽくないっていうこと?:

渡辺:いえ、全く(笑)。超域のみんなは自由に好きにやってます。そういう環境で自由にできているという意味では、今はほんとに幸せです。同期の中で自分は相対的にも自由にやってる方ですが、落ち着いているやまじめな人もいるので、はっちゃける人がいてもいいとも思いますし、バランスはとれてると思います。

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