平田 好則(ひらた よしのり)
特任教員紹介
平田 好則(ひらた よしのり)
特任教授
専門分野 溶接接合工学
担当業務 選抜審査評価・履修生支援
担当授業 超域イノベーション実践
チューター担当
学部・学科
工学・情報科学
研究関心 パルスアーク溶接現象、ワイヤアーク積層技術(WAAM:金属の3Dプリンター技術)、 溶滴移行機構、プラズマ現象
space_sp-appointed

研究紹介

 溶接・接合技術は、自動車をはじめ、重工、造船、電力プラント、石油化学プラント、建築などの基幹産業における組立て・製造工程の基盤技術として広く利用されています(図1)。溶接・接合技術は、金属や非金属などの材料や部材をつなぐ方法のひとつです。溶接・接合方法は、接合時の接合界面の状態によって、溶融接合法(溶接)、固相-固相接合法(固相接合)および液相-固相接合法(ろう接)の3種類に大別されます。製造現場では、接合部を局部的に加熱・溶融させてつなぐ溶接が広く実用されています。材料を加熱・溶融させる方法として、アーク放電やレーザ、電子ビームなどがありますが、実用的には溶接継手の90%以上にアーク溶接が採用されています。
図1. GMA(ガスメタルアーク)溶接の原理と製造分野

図1. GMA(ガスメタルアーク)溶接の原理と製造分野

 GMA(Gas shielded Metal Arc)溶接プロセスの原理図を図1に示します。ワイヤと母材(溶接する対象材料)の間にアーク放電を発生させます。溶接部では10,000K以上の高温プラズマ(電離気体)が発生すると同時に、母材とワイヤが加熱され、溶融します。大気中で放電させると、酸素や窒素により、接合部分が酸化・窒化します。そのため、アルゴンガスや炭酸ガスなどのシールドガスをトーチノズルから流し、健全な接合部を作製します。このGMA溶接プロセスは母材とともにワイヤも溶融するため、生産性が高く、ロボット溶接や自動化溶接に適しており、世界中の製造各分野で活用されています。
 GMA溶接のワイヤはアーク熱により溶融し、溶滴を形成して母材へ移行するので、アーク長やアーク発生位置が断続的に変化します。従って、溶滴が移行する現象の安定性は、溶接品質や作業性に直結しています。このため、溶接機メーカや溶接材料メーカ、ガスメーカ、大学・研究所などが、電源性能やシールドガス組成、ワイヤ化学成分に注目して、生産性や品質の向上に寄与する溶接法の開発にしのぎを削っています。図2は筆者らが行っている数値シミュレーションの例です。図の右側はプラズマの温度分布、左側はワイヤと溶滴、母材の温度分布です。ごらんのように、ワイヤ先端から高温の溶滴が離脱して、母材側へ移行する様子が分かります。
図2. GMA溶接におけるプラズマ温度分布と金属部温度分布

図2. GMA溶接におけるプラズマ温度分布と金属部温度分布

私にとっての超域とは?

 本プログラムのキャッチフレーズ「超域」は、多様な意味を内包しており、それを耳にする人それぞれがもつ自身の境界や限界の捉え方も百人百様にあります。私にとっての「超域」は、人生や仕事の目標と捉えています。その目標は経験や年齢、環境とともに、身の回りのものから社会全般に及ぶものに変化してきましたが、そのモチベーションは心の中から自然と湧き出るものです。私自身の場合、知的好奇心が実行力を支配しています。いつまでも夢をもち、今後も「超域」を心掛けたいと思います。
space_sp-appointed
photo_sp-appo_hirata_03b

message

 今年65歳になって思うこと。学生時代のクラブ活動、阪大卒業後の生産現場でのエンジニア、教員として取り組んだ教育研究活動、いずれも基本は十分な体力があって、はじめて目標に近づくことができるという考えに至りました。もとより、自分自身を高めるためには、多様な経験をつむ必要があります。いくらモチベーションがあっても体力がないと、挑戦したり、粘り強さを発揮したり、ものごとをやりきることができないこともあります。気力は体力に裏付けられていることを忘れないようにしてください。