Activity Reports超域履修生による、ユニークで挑戦的な活動のレポート。

授業レポート | 自主実践活動


言葉の壁を越えてより良い組織運営をするために

2018/2/2

Text: 経済学研究科 劉テイ

「HoRenSo」と「OKY」から見る日本企業の欧州現地適応化 —経営学と言語学との融合を通じた、欧州における日本企業のコミュニケーション問題とブリッジ人材の活用についての提言

なぜ日本と同じスピード感で仕事を出来ないのか?なぜ現地のスタッフが「報・連・相(HoRenSo)」できないのか?なぜOKY(お前が(O)、ここに来て(K)、やってみろ(Y)の略)がよく聞かれるのか?多国籍企業における言語コミュニケーション問題および人事管理問題は、グローバル社会、多文化、多言語のマネジメント環境のもとで人的資源活用における大きな経営課題といえます。この経営におけるコミュニケーション課題についての研究を、より広い範囲と新しい視点から取り込む必要があります。

本活動ではドイツのエバーハルト・カール大学テュービンゲンを拠点として9ヶ月にわたり欧州に滞在しました。その期間、当大学の国際経営研究室で研究するだけではなく、デュッセルドルフの日独産業協会で2週間のインターンシップにも取り組みました。また、オランダとドイツにおける日系企業と公的機関を訪問し、マネージャーと社員の合計65名にインタビューを実施しました。

本活動では、日本の親会社により標準化された使用言語の方針は、子会社でどのように現地化されており、そこにはどのような課題が存在しているのかを明らかにすることを目的としました。活動中の企業訪問とインターンシップを通じ、言語以外の様々な視点からも日本企業の子会社でのコミュニケーション問題を認識することができました。例えば、現地駐在員の役割、現地採用の日本人従業員の特殊性と役割、日本人駐在員のポジションと年齢層などの変化、日本人従業員と現地従業員のコミュニケーション問題、海外から日本へ来る社員派遣の重要性、特に日本と海外とのブリッジ人材の活用など、様々な実情を知ることができました。

活動の中で、ここまで超域プログラムで学んだネットワーキング力や課題の解決策を立案する経験が大いに役に立ったと感じました。言語という1つの視点から現地に入り、多様な情報を収集し、目標を設定し、プランを組み立て、そこから多角的な視点で解決策を立案することを本活動で実践することができたと感じています。今後さらに多国籍化する日本の企業経営におけるコミュニケーション課題とブリッジ人材の活用について論文にまとめることを目指しています。また私自身もグローバルな視点を持つブリッジ人材となりたいと考えています。