● 超域モジュール・ラーニング

経済学的思考法

担当教員:大竹文雄(理事・副学長、社会経済研究所 教授)

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 「超域」でしか経験できない経済学的思考法の授業とは、どのようなものだろう。一方通行の講義ではなく、ディスカッションを通じて、経済学の考え方を体感していくような授業でなければならない。

 第一の案は、ミラー、ベンジャミン、ノース著『経済学で現代社会を読む』という本をもとに学生たちに議論させることである。この本は、臓器売買、最低賃金、価格差別など具体的な例をもとに、あえて刺激的に経済学的な考え方による政策提案をしている。これなら、議論しながら経済学の考え方を理解できる。

 第二の案は、ギルボア著『意思決定理論入門』という本をテキストに使うことだ。この本は、様々な経済的意思決定に関する問題が最初に提示されていて、学生はその問題を解いてきた上で、議論しながら、経済学的な意思決定と人間の意思決定のバイアスを学んでいくものだ。どちらのテキストを使っても、「超域」にふさわしい授業ができたと思う。

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 しかし、最終的に私が行った授業は違うものだった。もっとアクティブに学びたくなり、ディスカッションを活性化し、プレゼンテーション能力も高めることができるものはないだろうか。そう思っていたところ、私は若者が経済学を楽しんで学べるテレビ番組の制作に関わることになった。番組制作のプロセスは、具体的な身近なテーマを設定し、それを経済学で解釈し、楽しんで学べるようなストーリーを作っていく。経済学については素人だけれども、映像や番組制作についてはプロであるスタッフたちと議論しながら番組を作って行くのだ。番組スタッフは、私が指示した本や論文を短期間に読破し自分のものにして番組にする。番組の制作過程を経験して、これはそのまま教育に使えると感じた。

 そこで、超域の学生たちに、4、5人のチームで経済学教養番組の台本を作成させるという課題を与えた。テーマを設定し、毎回の進行具合をレポートともに口頭報告してもらい、全員で議論する。私はコメントと読むべき文献を授業後にメールで伝えた。学生たちにとって一番のインセンティブになったのは、完成台本をテレビ制作会社のディレクター、プロデューサーに評価してもらい、最優秀賞を決めるというルールだった。超域生たちは、経済学の勉強と台本制作に熱中し、非常に活発に議論してくれた。出来上がった台本は、テレビ制作会社の人たちも驚くほど質の高いものだった。


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