6. 事後学習

 合宿から戻って一週間後、大学の講義室でライフスキル・トレーニングの事後学習の講義が行われました。
 まず、岡本さん、森本さんが自身の競技人生とライフスキルという観点から現役時代の映像資料も含めて話題提供をされてそれに対するディスカッションを行いました。特にオリンピック出場をめぐるさまざまな経験についての話はとても興味深く、超域履修生からも多くの質問が寄せられました。やはりトップアスリートの世界は、単に練習を積み、技術を高め、体力をつけるということだけではなく、競技団体という世界での立ち振舞方から、自らの強みをいかに強めていくか、さらに自身についての考え方をいかに強く持つか、また状況に応じて考え方を変えていくか、あるいは進行のレベルにも影響をあたえるかについてもすべてを高めることが重要であることを参加者全員が理解できたのではないかと思います。
 最後に、合宿時のチームごとにライフスキルについてという課題に対するプレゼンテーションを行いました。4つのチームがプレゼンテーションを行いました。外からは見ることができなかったそれぞれのチームで考え、実践していた戦略やチーム内での3日間のグループ・ダイナミックスがとてもわかり易く提示されました。
 あるチームは、超域イノベーション博士課程プログラムがプログラム全体の人物評価の指標として用いている「超域コンパス」を活用し、例えば合宿参加前後において、Challenge, Passion, 人材育成の3つの視点において成長がみられたことを報告していたました。また別のチームは、ライフスキルの構成概念を用いて効果的なコミュニケーションスキル、対人関係スキルの観点からチームで共通の掛け声をかけて意識を高めていったといったことが示されていました。
 各プレゼンテーションに対して岡本さん、森本さん、山田さんからフィードバックがなされ、活発な質疑応答が行われました。全体として、それぞれの合宿参加者がどのように考えて、どのように3日間の体験を感じ、そこから何を学んだかを全員で共有することのできた貴重な時間にすることができたと思います。
 事後学習終了後には、それぞれのチームのプレゼンテーションの評価、合宿で学んだことを岡本さんへのハガキというフォーマットで記載したレポートの評価、そして、合宿中のパフォーマンスをスタッフが総合的に「超域コンパス」で評価したコメントを含めたフィードバックシートを一人ひとりの履修生について作成し、フィードバックを行いました。超域コンパスに基づいた評価においては、特に評価の高かった点と今後の成長のためにさらに伸ばしていってほしい点についてそれぞれスタッフが観察した点を伝えました。これによってそれぞれの履修生が自分自身の強みや課題について理解する事ができたのではないかと思います。

まとめ

 ライフスキル・トレーニングプログラムは、オリンピック出場経験のあるトップアスリートとのディスカッションと3日間の実技合宿を含む総合的なプログラムです。このプログラムの中で、超域履修生は、当初想定していた自らの体力の限界を“超える”体験をすることができたとおもいます。しかしそれ以上にチームとして結果をだすために、どのような役割を自分自身が果たすべきかを考えたり、チームのだれをカバーして競技を行うべきかを考えたり、チーム全体の気持ちをどのように高めていくことができるかを考えたりといった本質的なリーダーシップについて学ぶ機会になったのではないかと思います。また合宿全体のルールを考え、地元の人達との交流会を企画する、子どもへのスポーツ教室へのファシリテーションの仕方を考えるといった企画、実行のプロセスも含まれており、プロジェクトマネジメントや総合的な人材育成に関する視点も学ぶことができたのではないかと思います。最後に、ほとんどの超域履修生は、初めて挑戦する競技に対して、インストラクターやチームのメンバーを積極的に活用しまず情報を集めて、それをもとに論理的に自分がすべきことを考えて、それを実践し、修正しを繰り返すという「科学者」的な態度を実践することができていたように思います。その意味では、ライフスキル・トレーニングは単に身体に関する能力を高めるプログラムではなく、人間に関する総合力について短時間で向き合い実践できるようなパワフルなプログラムであると考えています。

1.目的 2.事前学習 3.合宿一日目 4.合宿二日目 5.合宿三日目 6.事後学習・まとめ