Professors & Lecturers様々な分野の教員が履修生の学びを支援します。

特任助教鈴木 富美子Suzuki Fumiko

専門分野
家族社会学・社会調査法
担当業務
広報、選抜審査評価
研究関心
生涯を通じた仕事と家庭の両立問題(ライフコースの視点からのワーク・ライフ・バランス)
夫と妻など、対を構成する複数のアクターから収集したダイアドデータ(夫婦ペアデータ)を用いた家族・夫婦研究

研究紹介

私は、結婚後も働きながら子どもを産み育てようとする女性が増加する中、その変化に家族や労働市場、制度的状況が対応しきれていないことが夫婦にどのような状況をもたらしているのかに関心をもっています。主に量的な社会調査データを用いて、ライフコースの視点から、ワーク・ライフ・バランスをめぐる現状と課題を明らかにすることに取り組んでいます。

家族を研究する際に私が重視してきたことが2つあります。1つ目は「社会の中の夫婦」「社会の中の家族」という視点から家族を捉えるという試みです。例えば、夫婦というのはとてもプライベートな関係である一方、夫と妻のそれぞれがさまざまなネットワークの中に埋め込まれた社会的存在でもあるため、夫婦間で発生する葛藤や摩擦を夫婦内のみで解決しようとすると夫婦関係の悪化を招く恐れがあるからです。夫婦や家族の問題を社会的コンテキストとのつながりから捉えるに際し、個人と社会をつなぐ結節点として着目してきたのが、満足度や幸福感などの個人の主観的意識です。子育ては楽しいのか、大変なのか、夫婦関係に満足しているのか、不満なのかなど、「個人的な経験」とみなされている事柄が実は社会のありようと深く関係しているという立場に立ち、個人の主観的経験を成り立たせている社会的条件を探り、社会的な課題として抽出するというスタンスで研究を行っています。

2つ目は、社会調査データを用いて現実世界のリアリティに接近していこうという試みです。質的なインタビュー調査でよく利用される類型論の手法を参考にしながら、計量的データを用いて人々の違いや対象者の「人となり」を描き出す「計量的モノグラフ」を試みています。特に着目しているの「視点の複数化」を捉えることができるダイアド(夫婦ペア)データです。社会調査データは、通常、データの取得単位を個人に設定していますが、私たちの暮らしが他者との相互作用の中で成り立っていることをふまえると、夫と妻、親と子、教師と生徒、雇用主と雇用者、企業と消費者など、立場によってそれぞれが見ている世界が異なる可能性を視野に入れる必要があります。夫婦ペアデータは、夫婦をセットとして捉え、同一夫婦の双方からデータを得たものです。夫婦の双方をアクターと捉え、両者の認知的差異やズレを把握するにより、よりリアリティのある夫婦像を描くことが可能となります。現在は、夫婦ペアデータをパネル化することで、双方が対等なアクターであり、かつ、ズレを内包した夫婦として変化を追うこと-相互作用する存在として夫婦や家族のライフコースを捉えていくこと-にも取り組んでいます。

私にとっての超域とは?

私たちの日々の暮らしそのものが「超域」の上に成り立っています。例えば「子育て」は、夫や妻、それぞれの家族や親族、友人・知人などのインフォーマルなサポートから、行政・民間・地域などの保育サービスといったフォーマルなサポート、そして職場の状況など、実に多くのアクターが関与しています。日々の暮らしの中で発見した課題に対し、分野の垣根を越えて解決策を探り、満足感や幸せ感の実現に向けた道筋を構想していくことが超域の役割だと考えます。

超域生へのメッセージ

「超域」が私たちの暮らしと深くかかわっていることをふまえると、皆さんには専門・分化した知識や経験をもつ「専門家」であり、かつ、地に足の着いた「生活者」であることが必要となります。この2つの役割をつなぎ、本プログラムの成果を広く社会に発信していくためには、得られた知見を日々の暮らしにフィットするような形に「翻訳」しながら伝えていく作業が不可欠です。こうしたコミュニケーションの重要性を意識しながらプログラムに取り組んでいけるよう皆さんをサポートしていきます。