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特任研究員友尻 大幹Tomojiri Daiki

専門分野
生態学、地域研究、外来種問題
担当業務
履修生支援、広報
研究関心
外来種がもたらす生態的・社会経済的な影響、野生生物取引による外来種の導入、環境変化に伴う生物資源利用の変容、生態系サービスとディスサービスの転換など

研究紹介

私は東南アジア大陸部(タイ、ベトナム)を主な調査地として外来魚に関する研究を行ってきました。外来種(外来魚を含む)とは、本来の生息域を超えて人為的に新たな生息域に持ち込まれた生物種のことを言います。現在、外来種は侵入した新たな環境における在来生態系や社会経済に対して様々な悪影響をもたらすことから地球規模の重大な環境問題として認識されています。そのため、外来種は原則としてその影響を最小化するために駆除や個体数コントロールによって管理されるべきであるというのが世界的なコンセンサスです。

私の現在の研究は、外来種を取り巻く課題とはただ外来種を排除すれば解決に向かうという単純なものなのかという疑問からスタートしました。そのような疑問を抱くに至った理由は、タイ国でフィールドワークを始めた際に本国の外来魚を取り巻く状況が極めて複合的であることに気付かされたからです。ひとつ具体的な例を挙げてみます。私はタイ国のチャオプラヤー河デルタに普遍的に生息する外来魚であるシクリッド科魚類に着目して在来生態系や地域住民との関係について調査を行いました。生態学的な調査の結果から、外来シクリッド科魚類の在来生態系に対する影響は軽微であってむしろ環境変化によって空いたニッチ(生態系における地位のこと)に入り込んでいることがわかりました。一方でタイ語による聞き取り調査の結果から、外来シクリッド科魚類が地域住民にとっては在来種以上に日常的に食利用する魚類資源になっていることもわかりました。これらの結果を総合すると外来魚が生息していることによって生物資源(淡水魚)やその利用文化が担保されていることが考えられます。このような状況下で外来魚は本当に早急に駆除すべき対象なのでしょうか。これは利害関係にある誰の視点から考えるか(主体をどこにおくか)によって答えが異なる難しい問題であり、外来魚は生態系に悪影響を及ぼすという一般論に基づく単純な議論で答えは出ません。こうした地域的な特徴を反映した複合的な課題に取り組むには、地域特異性を重視して分野に縛られないアプローチによる解決策を模索し続けることが重要になってきます。私はフィールドワークを主軸におくことで常に地域の目線から考え、そこを基盤に専門分野(生態学)に縛られない多様なアプローチを試みることで外来魚を取り巻く課題解消に寄与することを目指しています。

四つ手網

私にとっての超域とは?

「超域」とは、社会課題が急速かつダイナミックに変化する現代において「視点を上げること」だと思います。新たな課題に取り組む時には常に既存の枠に縛られないアイデアが求められます。ここで重要なのは領域間の境界を容易に超えてしまう八方美人なスタンスではなく、新たな可能性を模索しながらも自分だけの強みを生かして唯一無二のピースを担うことだと思います。しっかりと専門分野の軸足を持ちながら視点を上げて領域の外にある可能性に手を伸ばし続けること、それが「超域」に対して抱くイメージです。

超域生へのメッセージ

常に自らが感じ考えたことを大事にしてほしいと思います。時には自分の洞察やアイデアが、ある別の分野での通説や常識に対して的外れだと捉えられるかもしれません。しかし、そのような場面こそが「超域」において自分の価値を発揮する場面だと思います。今までの経験や学びを大事にして、自分だけが感じ考えたことから積極的に独自の価値を提供することに挑戦してほしいと思います。