Career path修了生インタビュー

花井 舜平

出身研究科
薬学研究科
専門分野・領域
物理化学・分析化学、タンパク質の機能解明
現在の所属・役割
大阪府環境農林水産部エネルギー政策課、企画・事務系
キーワード
健康、タンパク質、環境、地球温暖化

2017年度修了生

博士人材として社会に出ることについて、大学院での研究内容との関わりや今の仕事を選んだきっかけ、博士人材だからこそ社会に提供できる価値など、感じるところをお聞かせください。

 社会人三年目の今は、大阪府のエネルギー政策を取りまとめる部署にて、地球温暖化対策の推進に取り組んでいます。大阪府の地球温暖化対策に関する計画の進捗管理や、2030年までの新たな計画の作成などの業務を行っています。
私は元々、体の健康に興味があり、大学院時代にはタンパク質の機能と構造の関係解明という創薬に繋がる基礎研究をしていましたが、身近な社会・環境から健康を支えることができるのではと思い、今の仕事を選びました。環境や行政に関する知識はほとんどなかったため、入ってからすぐは用語やルールなど覚えることが多く苦労しました。
 地球温暖化対策は、多くの部署が関わっており、超域で培った他分野との調整力が活きています。例えば、夏の暑さ対策に関する啓発を行う際には、熱中症対策の啓発を担う部署と何度も話し合うことで、お互いの強みを活かして上手く連携することが出来ました。私が思う博士人材は、知らないことを自ら学ぶことができ、分析・提案ができる者です。エネルギーに関する最新情報の理解・収集をして、施策や事業を提案しています。
 今後は、行政の仕組みなどを学んだ後、大阪・関西万博に関わる業務や新たな領域での挑戦をしていきたいと思っています。

大学院生活とその後のキャリアパスに対して超域プログラムが果たす役割について、超域での学びが就職活動や現在の職務へ与えた影響や、履修によって生まれた新たな視点や考え方などがあれば教えてください。

 私は超域プログラムのメインテーマである「超えることができるひと」ということに共感を覚え興味を持ち、専門分野を超えて複数の分野の意見に触れることで発想を広げたいと考え応募しました。
 超域の活動で印象に残っていることは「超域イノベーション総合」という授業です。京都のフィールドにて増えている空き家問題という課題に超域生チームで取り組むというものでした。現場にて地域の文化を学び、住民の方々と意見を交わし合い、チームで何度も意見を出し合うことで、課題解決に向けた提案を行いました。授業の中で、住民がなぜこの町に住んでいるのか、どういう町にしたいと思っているのかなどを考えたことで、まちづくりに興味を持つようになりました。また、TAとして関わった後輩の「超域イノベーション総合」では、新しい環境教育を提案するという課題に取り組み、誰かがしないといけない環境教育の意義や面白さを感じました。
 これらの経験から、環境に関わる行政という道を視野に入れて就職活動を行い、今の仕事に着くことになりました。大学入学時には自分でも想像していなかったキャリアパスですが、超域生の強みである飽くなき好奇心を持って、今後も過ごしていきたいです。

日々研究に励みこれから社会へ飛び立つ超域生に一言お願いします!

 研究がうまく進まなかったり、同世代の人が社会で活躍している姿を見て、焦り悩みもがく日々があるかもしれません。社会に出たらため込んだエネルギーを思う存分発揮してください。たとえ辛いことがあっても、研究・超域生活で培った発想力やチームとしての経験は揺るぎない自信としてきっとあなたを支えてくれるでしょう。

(2020年12月)