超域イノベーション・コア

超域イノベーション総合

自主実践活動

超域イノベーション博士課程プログラムの1年次から2年次までのコースワークで獲得した知識やスキルを社会における具体的な実践の場で活用することを通じて、それらを集約した総合力を身に付けることを目的として、履修生が自主的に企画して取り組む活動です。この活動を通じて、それまでの学修の成果をより着実なものとするとともに、総合力の着実な獲得やさらなる向上を図ることを目指します。 それが「自主実践活動」です。

「自主実践活動」実施成果ピックアップ

Innovation_jissen_tab_off_2015
Innovation_jissen_tab_off_2016
Innovation_jissen_tab_off_2017
Innovation_jissen_tab_on_2018

原子力防災に貢献する超域人材となるために
~国際機関での超域的な自主実践活動~

工学研究科 環境・エネルギー工学専攻 石井大翔

 私は、オーストリア・ウイーンに本拠地を置く国連の専門機関International Atomic Energy Agency (IAEA:国際原子力機関)のIncident and Emergency Center (IEC)で6カ月間のインターンシップを行いました。IECは各国の原子力・放射線事故対策の支援や、事故が発生した際の情報発信を行う専門部署です。IECで活躍する原子力分野からIT、教育に至る様々な専門家を目の当たりにしたことで、原子力発電所の事故解析研究に携わる私自身が、俯瞰的な視野を持ち合わせた博士人材となるためにも、まずは軸となる思考、つまりは専門分野に関する知識と経験が必要となることを学びました。
 インターンシップ期間中は各国の原子力・放射線事故対策の知見を集約するデータベースの構築や国際会議での書記などを担当しましたが、中でもInternational School of Radiation Emergency Managementという原子力・放射線事故対策を各国で進めるための人材育成を目的としたワークショップの運営に力を注ぎました。私が業務に携わったオーストリアでのワークショップでは、欧州15ヵ国から、原子力規制機関の関係者や警察官、消防官、看護師に至る様々な分野の参加者が集まりました。ワークショップの開催に際しては、多様なバックグラウンドをもつ参加者に、原子力・放射線に関する基礎的な知識から、原子力・放射線事故対策に必要な制度設計までの幅広い情報をどのように伝えていくかが課題とされていました。原子力・放射線事故対策では、Harmonizationという原子力・放射線事故対策に関わる各ステークホルダー(中央・地方行政、警察、消防、医療機関、科学者等)のそれぞれが、役割と責任を明確化し連携することが、事故時の被害を最小限にとどめるためにも重要であるという考え方が重要視されています。私は、出席した会議でテキストは必要な情報は極力簡潔にまとめ、特に専門知識が必要な講義に関しては、ディスカッションやケーススタディを中心に進めることを提案しました。参加者のそれぞれが、個々に異なる発災時の役割を理解することから、原子力・放射線事故対応の全体像を把握し、最終的には、参加者が各々の自国で原子力・放射線事故の対応力強化に貢献するというストーリーが大切だと考えたからです。実際にこの方針で幾つかの講義は進められ、特に過去の放射線事故のケーススタディでは、参加者から高い満足度を得ることができたと考えています。 (私のインターンシップは福井県国際原子力人材育成センター、福井大学、トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムの支援を頂き実現しました。)

innovation_jissen_2017_img01

大規模地震災害対策としての法政策に関する
実践的検討

法学研究科 法学・政治学専攻 山本展彰

 災害多発国である日本にとって、災害は社会全体で立ち向かうべき課題であり、事前の備えである防災・減災は災害発生時の被害をより小さくする重要な施策です。そして、本活動で取り上げた地震は、様々な災害の中でも具体的な発生予測が比較的困難な災害の一つとされ、発災時の被害を最小化するために、建物の耐震化や避難計画の策定などを中心とした具体的な施策が実施されています。
 私は以前より、社会インフラである法が、地震防災においてさらなる役目を果たすことが出来ないかと考え、本プログラムでの個人的な活動として地震と法との関係に着目してきました。その中で、断層のズレによる破局的な被災を防止することを目的に、活断層の直上について一定の建築規制を課すアメリカ合衆国カリフォルニア州法の存在を知りました。そこで、本活動では、このカリフォルニア州法をはじめとするアメリカ合衆国の防災法制の実態調査と理論的探求を通して、日本においていかなる地震防災法制が可能かを検討しました。実際に約1ヶ月アメリカ合衆国に滞在し、上記州法を所管するカリフォルニア州の機関California Geological Surveyで担当者へのインタビュー調査や現地調査を実施し、州法の運用や現在取り組んでいる問題点など現地ならではの情報を得ることが出来ました。また、Harvard Law Libraryではカリフォルニア州法を含むアメリカ合衆国の防災法制について広く文献調査を実施しました。国内では、類似した枠組みを採用している徳島県条例について担当者へのインタビュー調査を行い、日本の社会事情に即し、他の制度とも整合性のある制度構築のアプローチを知ることができました。そして最終的に、以上の調査結果を総合的に検討し、災害対応が求められる施設に限定した上で、カリフォルニア州と同様の法制度を構築することが今後の地震防災において有用でありかつ実現可能性が高いとの結論を、防災関係の研究所に報告しました。
 これらの活動では、今まで本プログラムで培ってきた経験やスキルが大いに有用でした。例えば、カリフォルニアでのインタビュー調査では、オーストラリアでの語学研修の際に行った研究者へのインタビュー経験や、フィールド・スタディ等で習得した現地の社会的文化的文脈に留意した調査のスキルが役に立ちました。また、様々な利害関係者が存在する中での解決策の策定には、超域イノベーション展開や、超域イノベーション総合での経験が生きたと感じています。そして、地質学と法学が重なり合う本活動は、他分野の知見を建設的に吸収し活用するという、本プログラム特有のスキルがなければ出来ないものでした。今後は、本活動の成果を研究報告や論文として発表し、成果を対外的に発信していきたいと考えています。

innovation_jissen_2017_img02
innovation_jissen_waku_btm
■ 本活動についてのお問い合わせ 

超域イノベーション実践についてのご連絡は、お問い合わせフォームよりお願いいたします。

宛先:超域イノベーション実践担当

※本ページに掲載している情報は、2019年4月時点のものです。
 The above information is as of April 30, 2019.