教育目標

大阪大学「超域イノベーション博士課程プログラム」は、高度な専門力と汎用力に支えられ、様々な「境域」を超えて社会システムの変革を導くイノベーション、すなわち、超域イノベーションを実現するトップリーダーへと成長していく高度人材の養成を教育目標としています。

 今日の社会には、価値観の多様化や科学技術の高度化、さらなる情報化への期待と不安、高齢化と人口減少が並走する社会、経済発展に伴う格差や貧困の拡大、グローバル化のもとでの国際的な秩序の再編、環境・エネルギーや食糧などに関わる持続可能性など、様々な課題が山積しています。それらの未知で複雑で困難な課題においては新たな着想に基づく包括的な取り組みが求められ、多様な知の協奏により既存の領域を超えて新たな知を共創し、その知の力を駆使して様々な関係者が協働していくことでしか、その解決はできません。ここに、特定の専門知のみに精通しているプロフェッショナルを超えた、「知」のプロフェッショナルとしての新たな高度人材、知を創造することに留まらず、知の力を持って新たな価値の創出に挑んでいき、トップリーダーとなる人材が求められています。
 本プログラムでは、上記のもと、大阪大学の教育目標※1を受けて、所属研究科での専門教育に加えて独自のコースワークを提供することにより、社会システムを変革へと導く取り組みに知的体力と勇気を持って参画し、社会での実践を経て、やがては自らそれを先導する「知」のプロフェッショナルを養成することを目指しています。
 本プログラムは、基本的には5年制博士課程※2 (博士前期課程・博士後期課程の区分制および5年一貫制博士課程※3。一般には4年制学部卒業者が進学する。) に在籍する学生に対する5年一貫の学位プログラムである博士課程リーディングプログラムのオールラウンド型※4として設計されており、上記の目標を段階的に具現化するために、下記の2つのコースから構成されています。

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 なお、医歯薬系等の4年制博士課程※2 (一般には6年制学部卒業者が進学する。) に在籍する学生および5年制博士課程の1年間の履修を終え2年次に進級する学生に対しては、履修開始時に所定の要件を満たす場合、本プログラムの2年次に編入して、Basicコースを1年で履修することにより、本プログラムを4年間で修了できるように設計されています。
 各コースでは、大阪大学のディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシー※1のもとに、3つのポリシーをそれぞれ次のように定めています。

basicコース

>ディプロマ・ポリシー(修了認定の方針)

 Basicコースでは、所属研究科の博士前期課程等での教育研究を通じて培われる専門力を基盤としつつ、研究科横断型・副専攻方式のコースワークを通じて、課題設定や課題解決、社会での実践のための基盤となる汎用力を修得することを修了認定の要件とします。  具体的には、以下に掲げる、他者との適切な関係を形成し、ものごとを俯瞰して独創的に行動していくための基礎的能力を修得した学生に本コースの修了を認定します※5。

<俯瞰力や独創力のための基礎的能力>

自らの専門の内容とその社会的・公共的意義を他の専門との関係のもとで明快に説明できる基盤としての力

他者の論理や専門がよって立つ背景や文脈をも踏まえて、具体的な課題の骨格や要点を相対的かつ柔軟に把握する力

社会における課題の具体的な解決に向けて、立場や専門を超えた適切な問いかけを行い、独創的な議論を展開する力

課題解決を志向する取り組みに、多様な専門知を交差させつつ、各方面からの関係者と協動しながら建設的に参画する力

>カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)

 Basicコースでは、ディプロマ・ポリシーに掲げる人材像に対して、教育内容を高度な教養や知識に関わるKnowledge社会で専門知を活かすためのSkillsイノベーションの実現に関わるIntegrationに大別することにより、教育目標にしたがった体系的なコースワークを整備しています。
 コースワークは、Knowledgeに関わる知識・教養系科目群(文化と歴史/社会のしくみ、科学と技術、社会の今とこれから)、Skillsに関わる展開力系科目群(トランスファラブルスキル系、研究リテラシー系)と実践的英語運用能力を育成する言語科目群、一連の基礎の上にIntegrationに直結する力を養っていくコア科目群からなるラーニング科目群、それらのもとで課題発見から実践へと展開する各種活動に取り組むアクティビティ科目群から構成し、独自に多数の科目を提供します。各科目では、学生が主体的に学びに参画するアクティブラーニングの手法を取り入れ、また、知識・教養系科目群では、特徴的な課題についての学習を通じて当該分野が共有しているエッセンスや固有の考え方を修得していくモジュール方式による授業を展開しています。

>アドミッション・ポリシー(履修生受入の方針)

 Basicコースでは、教育目標に掲げる人材へと成長しようとする志とポテンシャルを持つ大学院生として、下記の資質をもつ人を本コースの履修生として受け入れます。

大阪大学のいずれかの研究科での専門教育を通じて当該分野のプロフェッショナルに成長したいという志とそれに足る基礎的な学力を有している

社会における課題に具体的な関心を持ち、その解決に関わっていきたいという意志を持っている

未解決の課題に対して他者との対話や協働を通じて包括的に取り組もうとする態度を有している

 履修生は、5年制博士課程への進学予定者、4年制博士課程への進学予定者、5年制博士課程の2年次に進級予定の者を応募対象として選抜します※2。履修生選抜では、出願書類として課す小論文や推薦書などの書類審査と、筆記試験・ワークショップ・面接からなる選抜試験の二段階方式により、上記の資質を審査します。なお、4年制博士課程への進学予定者と5年制博士課程の2年次に進級予定の者については、加えて、Basicコースでの1年分に相当する内容として、修得済みの知識やスキル、英語の運用能力を履修生選抜の過程で審査します。

Advancedコース

>ディプロマ・ポリシー(修了認定・学位授与の方針)

 Advancedコースでは、所属研究科の博士後期課程等での教育研究を通じて培われる高度な専門力を基盤としつつ、研究科横断型・副専攻方式のコースワークを通じて、Basicコースで獲得した汎用力未知で複雑で困難な課題の解決を先導するための超域力、すなわち、社会でイノベーションを起すための高度汎用力にまで高めることを修了認定の要件とします。
 具体的には、以下に掲げる、超域イノベーションを牽引するために求められる力量を修得した学生に超域イノベーション博士課程プログラムの修了を認定し、博士学位の授与に際して、同プログラムの修了を付記します。

<超域イノベーションを牽引するための力量>

専門の学術領域における確かな研究能力、高度な教養、国際性の総体としての基盤となる力

物事を俯瞰的にとらえることにより、未知の問題を見つけ出し、新たな課題を設定する力

独創的な思考を通じて、新たな考え方や仕組みを積極的に取り入れた課題の解決策を立案していく力

様々な立場の他者と関わり協働しながら、確かな指針をもってグローバルに行動することにより、イノベーションを起こし新たな価値を創造する力

>カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)

 Advancedコースでは、ディプロマ・ポリシーに掲げる人材像に対して、Basicコースによる基盤の上に、Integrationに関わる力を強化していくために、教育目標にしたがった体系的なコースワークを整備しています。
 コースワークは、Integrationに向けて多様な知識やスキルを総合化していくアドバンスト・コア科目群として構成し、いずれも独自の科目を提供します。実践的なプロジェクト学習や社会での実践活動等からなる一連の科目は、Basicコースでの学ぶべき事項や解くべき課題の認識、要素としての知識の「学び方」の獲得やスキルの習得、コア科目でのワークショップや導入的なプロジェクト学習を通じたそれらの統合化に対して、専門研究とともにそれらを強化する役割を担い、“学修のスパイラル”が全体として組み上ることを意図しており、一連の内容が紡がれて超域力として結実することを目指します。
 また、履修生を教育目標に掲げる人材へと着実に導いていくために、Advancedコースの1年次(プログラムとしての3年次)終了時には在籍する研究科での専門力の確実な向上とコースワーク等による汎用力や超域力の獲得状況を審査するためのQualifying Examinationを実施します。

>アドミッション・ポリシー(履修生受入の方針)

 Advancedコースでは、教育目標に掲げる人材へと成長しようとする志とポテンシャルを持つ大学院生として、Basicコースを修了し、区分制博士課程の後期課程に進学する大学院生、5年一貫制博士課程の3年次もしくは4年制博士課程の2年次に進級する者を履修生として受け入れます。
 履修生の選抜はBasicコースの修了をAdvancedコースへの進級審査として審査することにより実施します。

《注釈一覧》

※1 大阪大学および各研究科等の教育目標、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーについては、大阪大学のホームページに掲載されている下記のファイルを参照してください。
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/guide/announcement/files/program_graduateschool.pdf

※2 5年制博士課程と4年制博士課程のそれぞれに該当する研究科や専攻の範囲などの履修資格者の具体については募集要項を参照してください。

※3 博士課程教育リーディングプログラムについては、大阪大学大学院学則の第5条の5に「各研究科において編成する教育課程のほか、本学大学院に、優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くための教育を行うため、博士課程教育リーディングプログラムを開設する。」と規定されています。

※4 オールラウンド型は、国内外の政財官学界で活躍しグローバル社会を牽引するトップリーダーを養成する、大学の叡智を結集した、人文・社会科学、生命科学、理学・工学の専門分野を統合した学位プログラムです。

※5 Basicコースの授業科目の一部を編成することにより大学院副専攻プログラム「超域イノベーション副専攻プログラム」が開設されています。5年制博士課程の一年次から本プログラムを履修する者については、Advanced コースの履修に至らなかった場合であっても、博士前期課程修了時にBasicコースの授業科目の単位修得状況に関して所定の要件を満たしている場合には、この副専攻プログラムの修了を認定することがあります。