本番

02

第二部は、登壇者の一人、冨山さんのご経験について伺うことから始まりました。

冨山さんは、私たちが設定した「挫折力」というキーワードを元に、ご自身の豊富な経験を、興味深く語ってくださいました。順風満帆から一転、挫折を味わい本当のどん底に陥った時、冨山さんは意外にも「私はどん底でも割と大丈夫だな」ということに気づいたとおっしゃいます。挫折が人に与えるもの、それは挫折した際にその人がどういった行動を取るのか、どういう精神状態になるのか、自分自身の傾向をはっきりと把握することのできる機会でもあると発言され、私たちが設定した「挫折力」がこのようなエピソードを引き出せるとは思ってもみなかったことでした。

私たちも「挫折」に対して恐れずに、様々な境域を超える「挑戦」する気持ちを持ち続けたいと感じました。

続いて二人目の登壇者の中谷さんは、外務省職員として日米貿易摩擦解消等に努めておられた経験から、各省庁やあるいは国を越えて様々な人、様々な背景を持つ人々と関わるためには、協力する際に体力的にタフであること、そして違う価値観を受け入れるために知的にもタフであることの重要性を指摘されました。

文部科学副大臣時代にリーディング大学院構想に携わっておられた鈴木さんとのディスカッションからは、様々なことに対する好奇心を絶やさず、また、既存の価値観や制度から脱却することで 新しいイノベーション、新たな価値創造につながることを学びました。特に印象的だったのは、人とのつながりを持続させる鈴木さんの行動力、フットワークの軽さでした。

設定したキーワードを元に、私たちが予想していた以上のエピソードを引き出すことができ、3名から出された、とても個性的で面白く、貴重なエピソードによって「超える」の形を少しクリアにできたのでは、と手応えを感じました。

そして続く全体ディスカッションではどのように議論が繰り広げられるのか・・・私たちも登壇しながら、緊張の高まりとともに期待に大きく胸を膨らませました。

第二部も後半、本プログラムが掲げる「越えるべき8つの境域」を参照しながら、「超域」に必要 なものとは何かについての全体ディスカッションへうつりました。

その中でも特に印象的だったのは、私たちチームの一人から「リーディングプログラム」の名に冠してある、「リーダー」という概念への疑問を出した際、それに対して登壇者の方々から頂いた意見でした。それは、独善的エリート主義に陥るのではなく、率先して「板挟み」になりながら、課題の解決に向かう人物像として「リーダー」を考える事の重要性を示され、「リーダー」の本質は何かを感じ、私たちがこれからプログラムとともに向かうべき方向に手応えを得ることができました。

~本番を振り返り~

本番を振り返ってみると、「超える」を具体化するために設定したキーワードを元に、多様な観点からリーダーの本質に迫ることができ、当初私たちチームが予想していたよりも、はるかに実りの多いディスカッションになったと感じました。

また今回は、開催後にアンケートという形で来場者の方々から感想を頂き、「超域」に対して多くの賛同を得たことが、アンケート紙面からも伺い知ることができました。実生活の中で「超域」という視点やアイデアを活用・実践して頂きたいと考えていたので、「超域を自分の経験に当てはめて考える事ができた」という意見を頂いたことは、特に嬉しく思い、私たちの企画の目的が実ったと、達成感を感じた瞬間でした。

その一方で、抽象的な議論に陥っていたのではないかという率直なご意見も頂き、今後につなげられるよう、準備や企画立案に関して、私たちなりに振り返って分析を行うことにしました。

1.はじめに   2.準備   3.本番   4.シンポジウムから学んだこと