【第5章】 本番を振り返って、インタビュー中のそれぞれの思い

冨田
ここからは本番当日について話を聞かせてもらえますか。
金谷
僕は当日は寝不足でテンション高かったですね。 前日に原稿を作り始めて、一人でいろんな状況をシミュレーションしました。やっぱり張り詰めた雰囲気を解くためには、最初に軽い冗談で空気を和やかにしたほうがいいのかなとか考えたり、結局3時まで一人で壁と話してました(笑)

冨田
新幹線の中でも、もう一回最後の打ち合わせをしましたよね?
武居
はい、座席表とかも決めて、最後まで細かいところを話し合いました。緊張はしていたと思うけど、同時に「ここまでやったんだから大丈夫」っていう気持ちもありましたね。
冨田
インタビューが始まったときは、どうでしたか?
金谷
場の空気を和ませようと笑いをとることを考えてたんですが、樋口社長の方から和やかな空気を作り出して下さったので、かなり良い雰囲気で、いけると最初は思いました。でもすぐにシナリオ通りにはいかなくなって(笑)
冨田
それはいきなり樋口社長の逆質問から始まったからですか?
金谷
そうですね、もちろん逆質問されることは想定していましたが、思ったより長く逆質問の時間があったので。
武居
いただいている時間が1時間という中で、樋口社長からの質問が終わった時、既に15分くらい経っていましたね。
金谷
ファシリテータとして樋口社長の話を聞きながら腕時計を見つつ、用意した4つのトピックをインタビューするのは時間的に厳しいかもれないと思って、頭の中でどうしよう、どうしようとパニック状態でした(笑)
丹羽
金谷くんが焦っている表情はよくわかった。どういう質問をすれば、この流れのまま、シナリオに近づけられるか考えてたけど、とても難しかったですね。
武居
当初のシナリオは全く意味をなさなかったです。でもそれが、逆に一方的で単調なインタビューにならずにすんだのでかえって良かったですが。
金谷
その15分経過したときですが、樋口社長が、少人数に対してリーダーシップを発揮できる人と、大人数でも同じように発揮できる人で何が違いますかと尋ねられていたので、シナリオ通りやることを諦め、まずは当初の順番を変えて、リーダーシップ論についての質問からお願いします、とみんなに言いました。

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竹内さん
金谷さんのすばらしい臨機応変力でしたね。順番を変えますと言った時点で、これは大丈夫だと思いました。彼が一生懸命集中して考えて、パッて判断したのがよくわかったので、あとはどんな流れになろうと金谷さんに任せても問題ないと思いました。
冨田
インタビューの残り時間わずかになって、話すべきトピックとして、まだ「大学教育について」が残っていた時、みんなは何を考えていたんですか?
丹羽
僕個人としては聞きたい事が聞けたので、正直そんな焦りはありませんでした。ところが金谷くんの顔を見ると焦りが見えたので、自分が質問して大学教育に持っていきたいと思ってました。しかしなかなか突破口が見つからなくて、結果的に発言できなくて…。
冨田
では金谷くんはどうしようと思いました?
金谷
残り時間はほぼなかったんですが、大学教育というトピックは超域生みんなが関心のある部分ってわかっていたので、どうしても何か聞きたくて、一人だけという質問させてもらおうと思い、大学教育に話をうつしました。
冨田
結局、大学教育についてのお話も伺えて、疑似体験という具体的なキーワードも出てきて、とても得るものが多かったと思います。 リハーサルと比較しても当日のインタビューは難しかったと思いますが、インタビュー中に特に意識していた事とか、個人的に目標にしていたこととかあったら教えてください。
丹羽
僕は当日に近づくにつれて樋口社長が人を引きつける魅力はどこにあるのかを知りたいと思うようになっていました。それは本を読んだだけではわからない事だったから・・・つまり樋口社長の経営者としての決断とかは確かにすごいと思うけどそれだけでは人はついてこないと思っていたんです。 だから当日樋口社長自ら話し始められたとき、シナリオ通り行かない事に対する不安よりも、樋口社長のシナリオ通りでない話が聞ける事が嬉しい方が大きかったです。
その話しぶりも一方的に自分の意見をおっしゃるだけでなく、まず僕たちの意見を聞いてからご自身の意見を述べる事で、僕たちに腑に落ちやすい言葉で語ってくれていると感じました。この腑に落ちる感覚を相手が持てるように話すことが人についてこさせる所以だと思います。
冨田
なるほど。丹羽くんは樋口社長の逆質問に焦ってなくて、そこから何かを得る事を心がけていたんですね。他の人は何を心がけていましたか?
武居
できるだけ話の全体像を意識しながら、流れに沿って深掘りができるような質問を心がけました。まあ、それが難しくていつもできないんですけど(笑)
松村
私はタイムマネージメントをかなり気にしていました。 その上で樋口社長が言っていることの本質や重要なポイントを抽出しようと集中してました。深めれるポイントがあれば端的な言葉で質問しようと常に考えてました。
武居
全体を通して思うんですが、みんなすごいうまく質問をしてくれていたと思います。
松村
参加者全員がまんべんなく質問して、議論に参加できていて、自然に盛り上がっていたことは嬉しかったです。
武居
準備段階で、情報の伝え方とかコアメンバーのやり方にまずいところもあったと思うけど、インタビュー本番のみんなのクオリティが高くて、超域生の個の能力の高さを感じました。
竹内さん
私たちは知ってるけど、初めてインタビューを見た人がいたらコアメンバーが誰かというのはそんなに分からなかったと思います。
武居
そうですね、たしかに一体感があったと思います。一部の人だけが何回も質問して、他の人は見てるだけという形になることを心配していたんですが、全くそうはならなかったのでとても安心しました。
松村
ちゃんと目指した方向に行った感じでしたね。 本番は、考えていても実行に移す事がためらわれて、思い通りにいかない悔しい気持ちもありましたが、私はコアメンバーだけが質問する、コアメンバーとそれ以外で分裂した状況が一番嫌だったので、本当に良かったと思います。

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