【第4章】 本番のための念入りな準備~リハーサル
- 冨田
- 10月22日に竹内さんを樋口社長に見立てて本番さながらのリハーサルを行いましたよね?その前にコアメンバーでリハーサルのリハーサルを行ったらしいけど、それはどんな感じだったんですか?
- 丹羽
- リハーサルをやることは決まってたんですが、インタビューがどういう形式になるのかコアメンバーもあまりわかってなくて不安だったんです。リハーサルの前に何かできる事はないか考えた結果、「武居くんの家でリハーサルの練習をしよう。」ってことになりました。リハーサルのリハーサルで一番知りたかった事は、インタビューがどういうものか肌で感じる事と、金谷くんのファシリテーションがどれくらいうまくいくかということです。 ここがファシリテーターの実践を積む初めての機会だったので、どの程度うまくできるか確かめたかったんです。
- 金谷
- せっかく竹内さんにリハーサルきていただくなら、そこで最大限の収穫が得られるように、できるだけ自分たちで事前に準備しようという話をしました。
- 竹内さん
- さすがですね!
- 冨田
- ここで何か得られたものはありましたか?
- 丹羽
- 得られたものは多かったと思います。まず、インタビューが想像以上に難しいってことがよくわかりました。全然思い通りいかなくて・・・特に本当に聞きたい事を聞くために質問をうまく重ねる事ができなかったんです。
- 松村
- 深めようとするけど、みんな別々の視点から質問するから、なかなか思い通り深まらない。複数人でインタビューするときは前の人の話題に上乗せしないといけないのに、みんな自分の頭の中で考えてるから次から次に違う話題になっていました。終わった後に「これはポイントだ、参加者全員に共有しよう」とみんなで同意しました。
- 武居
- 前の人の発言に関連した質問をしないとそれぞれの質問が浅いまま終わってしまう事に気づけたのはここでの収穫物でしたね。そこで学んだことがリハーサルで活きたと思います。
- 丹羽
- もう一つ得た事と言えば時間配分の難しさですね。その瞬間に興味のある質問をしてしまうと、自分たちが事前に立てていた仮説を検証できなかったんです。その結果、リハーサルのリハーサルでは時間が足りなくて聞きたい事が半分も聞けていないという状態になりました。
- 冨田
- 金谷くんのファシリーテーションはどうだったんですか?
- 金谷
- あの日はファシリテーターがどれほど介入していいかわからなかったから全然発言してないです。みんながどういう風に質問するかも見たかったということもありますが。
- 松村
- 結局、リハーサルのリハーサルの反省の上で、コアメンバー4人全員がファシリテーターになろう、という話になりました。質問内容を把握してタイムキープも一人でやるのはしんどそうだったので、4人でタイムマネジメントを気にして話題を転換しやすい質問をしたり、質問を深掘りしていく意識を持とうと話し合いました。
- 金谷
- それにしてもこの日の松村さんの働きは凄かったよね。みんななかなかうまく深堀りできない中、松村さんが核心をつくような質問をしてくれるような場面が何度ありました。松村さんは自分の研究でインタビューをよくするらしいので、その分うまいなと思いましたね。
- 松村
- 一応、人間科学研究科での研究手法はインタビューによる聞き取りが主なので、学部のときの臨床心理学で傾聴の講義や、フィールドワークにおける聞き取りの練習をする講義もありました。でも、文系はそもそもディカッション形式の講義が多く、理系よりも経験が多いというのもあると思います。
- 武居
- あのときはチームに松村さんがいてくれて本当に良かったと感じました。
メンバーが金谷くんと丹羽くんと僕だけだと、専門分野が近いという事もあって、画一的な意見しか出なかったと思います。
四人目のメンバーを決めるときに、丹羽くんが指摘していましたが松村さんを誘ってよかったと思います。 - 冨田
- 竹内さんのリハーサルが2回あったと思うんですけど、一回目と二回目で他のメンバーを見ての手応えはどうでしたか?
- 松村
- 一回目で、この人はこういう発言をする傾向があるというのが少しずつ分かってきました。参加者自身の仮説に基づいて深堀していましたし、思ったよりスムーズに進みました。一方で、質問するときの前置きが長くすぎてわかりにくくなっていたり、タイムキーピングの難しさを改めて実感しましたね。
- 竹内さん
- 一回目は一度いえば直る欠点がいっぱい出てきたんです。ちょっと質問が長いよねとか。それは皆さんすぐその場で直ったのでそれは良かったです。 一回目は金谷さんずっと様子見てましたね。
- 金谷
- はい、できるだけ介入せずにみんなの自然を出してもらった方が、ファシリテーターをどのようにすれば良いかを見ることができるかなと思いまして。
- 松村
- 本当にぎりぎりまで様子見ていたよね。
- 竹内さん
- そうそう、そろそろ私も「本番ではしっかりやってくれるのかな…。」と、心配になりました(笑)
- 松村
- 二回目は、金谷くんも質問することで流れを変えようとしてたね。
- 金谷
- そうだね。二回目も、みんなの自然が出るように強いファシリテートはしないようにしたけど、一回目とはスタンスを変えました。
- 竹内さん
- そうするうちに、自分も質問して進めるのか、話題転換を他の人に任せるのかなど、金谷さんの中でイメージがついたんじゃないかと思います。
- 金谷
- そうですね、すごい手探りで本番でどうするかを考えてました。この経験がなかったら、と思うと恐ろしいですね(笑)