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インタビュイー(研修企画者):2014年度生 奥野 輔(企画当時)
2014年度生 鈴木 星良
インタビュアー(研修参加者):2014年度生 立山 侑佐
2014年度生 関屋 弥生
執筆:2014年度生 関屋 弥生
記録:2014年度生 堀 啓子
写真撮影:2015年度生 小林 勇輝

 2016年2月。超域履修生19名と教員1名がモスクワに向かい、ロシア連邦で1週間の海外研修を行いました。超域の先生方や事務職員の方々、超域プログラム外部の多くの方々からの協力を得て、超域生自身がゼロから企画した初めての海外研修。それはいかにして企画・実施され、その中で研修を企画した学生数名と、企画に参加した学生はそれぞれ何を学んだのか。研修の企画者である奥野 輔君(人間科学研究科)と鈴木 星良さん(国際公共政策研究科)と、参加者である立山 侑佐君(工学研究科)と関屋 弥生さん(文学研究科)が対談を行い、ロシア研修の企画と実施から見えてきた、超域と教育の本質について語りました。

取材日:2016年5月27日

■ ロシア研修実現の舞台裏

事前ワーク

立山:じゃあまずは、なぜそもそも今回のロシア企画をやろうと思ったのか、から聞かせてもらえないかな?

奥野:2年次の海外フィールド・スタディでの経験が大きいかな。僕は東ティモールに行ったんやけど、同じ場所にみんなで行ってそれぞれが違う視点で物事を見るっていう体験がすごく新鮮で面白かった。その経験からみんなでひとつの課題に取り組む機会がまたあれば良いなと思ってた。

関屋:それが企画者4人(奥野鈴木飯田)の共通の思いだったの?

奥野:モチベーションはそれぞれ違っていたんじゃないかな。例えば飯田は、「どうせやるならただ参加するだけじゃなくて企画する側になりたい」って言っていたし。

鈴木:私の場合はたすく(奥野)が今言ったことと似てると思うな。東ティモールにフィールド・スタディに行ったときに毎日振り返りミーティングをしたんだけど、みんなが同じ経験をしているはずなのにそれぞれが違う捉え方をしているっていうのが分かって面白かったんだよね。だから同じ場所に全然異なる価値観を持つ人たちと行って、その発見を共有するっていうことをもう一度やりたかったっていう気持ちが強かったかな。正直、本当に実現できるのか半信半疑なところもあったけど最終的に企画者として参加しようと決心したのは、たすくの情熱があったからだと思う。(笑)

立山:情熱を感じたんだ?

鈴木:フィールド・スタディの報告会の後にいきなりたすくが、「少しだけ時間を下さい」って言って、突然プレゼンをし出したのが始まりだったと思うんだけど。「いきなりプレゼンするんだ!」みたいな。(笑)

立山:確かに、あれはびっくりしたね。(笑)

奥野:逆にたて(立山)と関屋はこの企画をどう認識してたん?本当に実現できるのかどうか不安に感じたりしたことはあった?

関屋:途中で事前学習の機会が数回設けられてたよね?常盤さんがロシアの歴史について勉強会を開催してくれたりとか。そういうのに参加してたから、企画側で少しずつ話を進めてくれてるんだなとは感じてたよ。具体的な行き先を知らされたのは、確かにかなりあとになってからだったけどね。

奥野:本当はもっと早い時点でみんなに具体的な行き先とプランを示したかったんやけど、2015年の夏までに何回も企画書を超域の先生方に提出して、その度にダメ出しされては書き直すっていうのを繰り返していて、なかなか話が進められなかったんよね。「この企画はフィールド・スタディとどう違うんですか?」とか「これで本当に何か学びを得ることが出来るんですか?」とか、めちゃくちゃ怒られた…(笑)

立山:そうやって先生方に色々と指摘されながらもきちんと実現できたっていうことは、最終的にはどういう点が評価されたんだろう?フィールド・スタディとの差別化については、企画側としてどういうふうに応えたの?

鈴木:たとえば三田先生には、「フィールド・スタディ(一年次)とプレ・インターンシップ(二年次)が終わったあとに今回の企画があって、それから超域イノベーション総合(以下、イノベーション総合)をやるっていう流れをメタ的に踏まえたほうが良い」っていうアドバイスをもらったんだよね。今回の研修企画が、「全体ワーク」「グループワーク」「個人ワーク」っていう3部構成になったのも、こういう先生のアドバイスをもとに超域のカリキュラム全体におけるロシア企画の位置づけを考え直していった結果。「グループワーク」を入れたのは、プレ・インターンシップで個別に活動して力をつけた超域生に、グループとして力を合わせてひとつの課題を掘り下げてほしいっていう思いがあったからだし。

奥野:あとは、イノベーション総合が始まるまでに超域生にもっと積極的・能動的に学びを得ていくような姿勢を身につけてほしいっていう意見も出てたな。フィールド・スタディの時点では、履修生はどちらかというとまだ受け身の姿勢だったと個人的には思っていて。イノベーション総合ではもっと自主的に動くことを求められているわけだし、そういう受け身の姿勢はどこかの時点で変えなきゃならないだろうって感じてた。

立山:超域生の自主性を引き出すために、具体的にはどういう工夫をしていたの?

奥野:企画側だけで全てを決めてしまわずに、ひとつひとつの意思決定のプロセスに参加者全員を巻き込んでいくように心掛けたかな。行く国もみんなの意見を反映して決めたし、他にも、さっき話に出ていたように、とっきー(常盤)にロシアの歴史について勉強会してもらったり、途中からロシアの大学でやるワークショップの企画を、たて(立山)に手伝ってもらったり。ただ、ほんとはもっと参加者全員に研修プログラムの設計や実施に何らかの役割を割り振って、全員で企画を作る感じにしたかったんだけど、そこまでみんなを巻き込めなかったのは反省やね。

鈴木:ワークショップの設計や調整もなかなか難しくて、最終的には私たちが想定していたものとはかなり違うものになっちゃったしね。こちらはテーマに沿った学生同士のディスカッションをメインにやりたかったんだけど、結局はロシアの大学側の提案を受けて、ロシア側の学生と超域生とが交互にプレゼンをして、そのあとに少しだけディスカッションの時間を入れるっていう形に落ち着いたんだ。

関屋:裏ではそういう交渉とか、結構苦労してたんだね。

ロシア

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