インタビュアー:12年度生 井上 裕毅
        13年度生 岩浅 達哉
インタビュイー:大阪大学超域イノベーション博士課程プログラム
        特任講師 岡本 依子さん

 大阪大学 超域イノベーション博士プログラムでは、学内外・分野を問わず多くの人との活動の場が拓かれています。【超域パートナー】では、今までのアクティビティを通して履修生と関わってきた方々に、本プログラムの魅力や思いを語って頂く企画です。
第2弾となる今回は、2000年に開催されたシドニーオリンピックのテコンドー銅メダリストであり、現在はテコンドー教室のドリームテコンドースクール(DTS)を運営し、本プログラムの特任講師でもある岡本 依子さんにお話しを伺いました。


岡本依子さんインタビュー見出し01 岡本依子さん超域授業

*1:汎用力の一つとして、実際に体を使うことで、体力増進だけでなく、時間管理、目標設定、コンディショニング、コミュニケーションスキル、そしてチームにおけるライフスキルを学ぶカリキュラム。超域の必修科目に設定されている。

岡本さん
 私が一番初めに超域と関わったのは、このプログラムができあがる前なんですよ!
大阪大学の先生方がお越しになって、超域プログラムについてお話になったんです。私の身近に大学の先生なんてあんまりいないので、話を伺っていてとても面白かったです。さらに面白いのが、理系の先生と文系の先生が一緒に来て、お話ししてくださったところですね。

インタビュア:
 理系と文系の先生のどういうポイントが具体的に面白かったのでしょう?

岡本さん
 理系の先生と文系の先生って全然違うんですよね。理系の先生は3Dのめっちゃかっこいいスライドを使ってプレゼンしてくれるし、文系の先生は頭の回転が速くて話も速い!岡本さんは何系ですかって聞かれたので、体育会系や!って返したのを覚えてます(笑)

インタビュア:
 体育会系ってスポ魂ドラマみたいで面白いですね(笑)

岡本さん
 体育会系は練習とか行動してなんぼ、学者はプレゼンで表現してなんぼみたいな感じ。先生方のお話を通して、超域プログラムの中で、文系でも理系でもないスポーツ(体育会系) 科目での学びが、将来どのように履修生に表現されるのか気になりました。

インタビュア:
 ほかに岡本さんが超域プログラムを魅力に感じるポイントってありますか?

岡本さん
 世界中で博士がリーダーとして活躍しているのに、日本はあんまり活躍してないなーってふだんから思っていて。特に日本の場合、リーダーって人、あんまりいてへんなって、3/11の東北の大震災の時に気づいたんです。やから、超域プログラムで、将来の日本のリーダーになるような人を育てるのにスポーツで関われるってすごいことやなって思いました。普段は、ちびっ子たちの育成に関わってるけど、大学院生の育成に関われるのも面白い。そんで、日本のリーダーを育てるためにスポーツを関連付ける「阪大さん、すごいな」って思いました。


岡本依子さんインタビュー見出し02

岡本依子さんインタビュー見出し02-2


岡本さん
 たぶん、自分で限界だと思うことが間違っているというか、私はあんまり「限界」と思わないかな。私は可能性が無限だと信じているので。だから、練習とかも続けられるんですよね。例えば、試合とかで負けたとしても、あいつと私と何がちがうねんって思って練習し続けるんですよ。勝ち負けって予め決まった答えがあるもんじゃない。みんないっぱいいっぱい練習してみんなに可能性があると思うんですよ。自分の中でいろんな仮説を立てるんですよね、可能性が無限だというのも私の一つの仮説です

インタビュア:
 「可能性は無限大」と言うと、なにか具体的な経験などはありましたか?

岡本さん
 韓国に留学していた時、ベストを尽くして練習しても、どうしても試合で勝てない相手がいたんですよ。あかんわーって少し思いました。でも、そういう時は、別の視点から解決策が出てくるんですよ。例えば、普段人間は脳全体の数パーセントしか使ってないらしいから、全体を使えば、絶対勝てるって考えるとか。そうやって考えると、心理の面で大いに可能性の幅があるなと思いましたね。

インタビュア:
 フィジカルだけでなくメンタル面も試合には大きく影響するということですか?

岡本さん
 そうですね。試合って様々な要因が複雑に関係してくるから、体力トレーニングもして、メンタルトレーニングもして、食事も計算して、試合にベストな状況で挑むようにするんです。でも、試合でいつもの90とか100の力を出せる人しか、メンタルトレーニングして120出せるようにならないですから。試合で50とか60とかの人はまず、80・90出せるようにしないと。そこは小さなことの積み上げですね。

インタビュア:
 なるほど。こつこつ積み重ねが大事なんですね。壁は自分で作っているというのも勉強になります。

岡本依子さんインタビュー岩浅

岡本さん
 例えば、水泳とか陸上競技でもそうなんだけど、100メートルだったら、10秒の壁を誰かが切れるようになった途端、みんな10秒切れたりするんだよね。メンタル面で自分の限界を決めてしまっているんだと思う。自分を高めていったら、限界なんてないはずなのに。

インタビュア:
 これからの超域生も限界を自分で決めずに頑張っていきたいですね。岡本さんは、今後の超域生にどんな活躍を期待されますか?

岡本さん
 チームになるからこそ新しい力が出てくる。勉強も大事だけど、人間関係も大事。何か壁にぶつかったときに一人で解決するだけでなくみんなで解決できることもあると思う。
例えば、サッカーでも一人でドリブルするより、パスサッカーでパスをつないだ方が楽に点が取れるよね。そんで、相手のために働くというのも大切で、どんなにしんどくてもそれ以上の力が出てきたりする。そうやって、頑張ってほしいな。
ライフスキルトレーニング(スポーツ合宿)でチームワークを学ぶことも大事だけど、スポーツを生活に取り入れることって大切だよ。リフレッシュ効果とか集中力がついたりするからね。

インタビュア:
 (インタビュアは泳げないので)そういえば最近水泳を始めたのですが、しっかりと時間を決めてやることによって、ほかの時間もちゃんと管理できるようになった気がします。

岡本さん
 企業の社長さんでもスポーツを熱心にやっている人ってたくさんいて、自分をコントロールする力とかリズム感とか養ってると思う!
超域でいろんな経験していると思うけど、ライフスキルトレーニング(スポーツ合宿)で経験したことも障壁に直面した時の解決の糸口にしてほしいな。

岡本依子さんインタビュー見出し03

岡本さん
 特になかったです。お世辞抜きで。
まだ、授業も先生も完全には決まってないときに話を聞いてとてもしっくりしました。新しいリーダーをつくろうとしているときに自分たちも加われることは素敵だなと。社会には新しいものに対してタブー視することがよくある。それを自らやろうとしていることに共感を持てました。『域を超えてイノベーション』すごくわかりやすいじゃないですか。オールラウンド型っていうのも専門性を身に着けるだけじゃなくて、ほかの所ともつながろうとする姿勢、いいと思います。

インタビュア:
 最後に超域生に向けてメッセージを一言お願いします。 岡本依子さん「レールにのるな」

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