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Report vol.2 「“超域らしさ”って何ですか?」

“超域する”ってどういうことだろう?

 普段の授業では、大学の一室に異なる研究科の学生同士が集い、社会問題などについてそれぞれの観点から意見を出し合っている。そのセッティングの特徴から、自分たちが“超域している”かどうかについて疑問を持つことはなかった。しかし、その状況や、あるいはそこで生み出されるものを見て、他人もそれを“超域している”と思うのだろうか?そもそも“超域らしさ”とは何か?
 この種の問いに対して簡単に答えは出ない。そのような問いの建て方すら正しいのかという意見もあるに違いない。しかし、今回のテレビ出演を契機にして、我々履修生の中にそのような疑問が沸き上がったことは事実として記しておくべきだろうと思う。そしてまた、本プログラムに参加してから「超域とは結局何なのか」と聞かれる機会は星の数ほどあったし、個人的な見解として、その問いに対する自分なりの答えは持っておくべきだと感じる。

 本番当日は、3人1チームでグループ分けされ、「革新的なアイデアを生み出すためには何が必要か?」「自分たちが提案するとしたら、どのようなアイデアが良いと思うか?」などの問いに対して、チームとして意見を出し合うという形式が採られた。それぞれのチームは、例えば工学研究科、文学研究科、国際公共政策研究科など異なる研究科の者同士で固められた。当日のお題は事前に告知されていたので、各チームはそれぞれの専門性をどのように融合させるか、はたまたその答えが超域的かどうかについて、入念に準備し、一定の解釈をもって臨んだことになる。
 以下はそれら準備期間の奮闘や当日の出演に対する各自の感想を纏めたものである。テレビ出演における戸惑いから“超域らしさ”に対する解釈、または100名規模のスタッフの方々に支えられた番組制作工程そのものに対して、それぞれの視点から感想が綴られている。当日の番組の情報がないと少々分かりにくい部分もあるかもしれないが、履修生一人ひとりが何を感じ、何を学んだかを表すため、できるだけ言葉はそのままに掲載した。是非、ご覧いただければと思う。

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井上 裕毅/工学研究科

今回の地球アゴラでは超域イノベーションを採り上げてもらったが、テレビということで一種のエンターテインメント性を意識して取り組み、「観られる」ということがどのような感覚なのかを体感することができた。普段は自由に発言している自分であるがカメラが回り始めると慎重に言葉を選んでしまう面があった。言葉を選び、相手にどう伝わるかを瞬時に考えなければならない難しさを学んだ。

金谷 優樹/ 工学研究科

超域とは何か?いざ問われると難しい質問であると思う。テレビを見る人に対してどうすれば超域を伝えることができるかを考えることは、自分を見つめなおして何が超域なのか、他の人からはどう見られるのかということを振り返る良い機会であった。人に伝えるためには、説明会などで使われているような「専門力と汎用力の両立」などという言葉では伝わらないように感じる。もっと自分の言葉で、平易な表現で言い表せるようにならないといけないと感じたことは大きな学びであった。また個人的な感想であるが、テレビ出演を経験し自分に自信が持てたこと、家族や親戚が喜んでくれたことは良かった。

佐藤 紗良/文学研究科

世界各地の方々のお話を伺って、発想の転換次第で害とも思われていたものを役立たせることができること、好きなことを突き詰めていくとそれを生かせる出会いがあることを知った。その出会いを捕まえること、様々な人の視点に立って考えること、人のために何かしたいと思うことから新しいイノベーションは生まれるのだと感じた。

下 剛典/薬学研究科

1時間の番組でも、かなり大勢の人が携わっており、放送に向け事前にたくさんの準備をする必要があると知った。またメディアを通じて自分の考えていることを伝えることの難しさを知った。閉鎖環境で行われる会議や講義とは違い、目に見えない視聴者に伝える為には、普段とは異なるテクニックが必要であって、何よりも、如何に簡潔明瞭に伝えることができるかにかかっていると気付くことができた。

瀧本 裕美子/人間科学研究科

短い時間で瞬時に受け答えを行うという難しさを体験することができた。これまでも自分の研究や所属している超域というプログラムについて紹介する機会はあったが、大学という組織の外で広く一般の方へ向けて行う機会は少なかったので良い経験となった。テレビ番組を作るということについて今回非常に驚いたのは、我々が事前に提出したアンケートをまとめ、要素を抽出し、番組を組み立てる際に、ぶれること無く軸が一貫していたことである。

武居 弘泰/工学研究科

自分の専攻を名札に書いていたこともあり、一般視聴者には自分がその研究分野の専門家であると見られ、自分の発言はその分野の専門家の発言と受け取られる可能性があることをもっと自覚するべきだったと感じた。また、起業家の方々の話を聞く中で、アイデアを実現する人はみな自分の考えを信じて臆せず挑戦する人だと思った。自分の考えを信じて行動することに長けていることが必要だと感じ、それがひとつの学びであった。

丹羽 佑介/情報科学研究科

今回の企画で一番驚いたことは番組制作のスピードの早さである。9月に初めて番組制作担当皆さんとお会いした時には詳細が決まっていない状態だったが、その後、放送当日までの一ヶ月半、ものすごい早さで番組ができていると感じた。それらの制作過程を近くで感じることができたことは非常に貴重な経験であった。

永野 満大/国際公共政策研究科

超域イノベーションでは普段学術的なテーマを中心に議論していることもあり、今回扱われるトピックは新鮮で楽しめた。むしろそのような自由度の高いテーマのほうが、履修生の個性が際立つように思う。新しいアイデアを生み出すのに、「多様性」とそれを生かす「自由な発言の場」が重要であることを実感した。

生川 佳奈/生命機能研究科

多くのスタッフの方々が一丸となって、一つのものを分担して仕上げてゆく過程を見ることができた。その中で、どこかの役割が遅れをとることは許されず、どの役割も同じ足並みで前進し、十分量の準備をした上で完成させる過程を知り、今後の自身に課せられた課題への対応を考え直す機会となった。また、世間をあっと言わせた3人の話を聞く中で、逆の発想が新しい発見に繋がることを学んだ。例えば欠点をどう抑えるかではなく、利点をいかに伸ばせさせるか、アイデアを異なる方向から攻めていく姿勢を教えてもらった。

橋本 奈保/国際公共政策研究科

「マス」を対象に「発信する」テレビならではの伝え方に触れ、分かりやすい伝え方の勉強になった。何をどう伝える(見せる)のかに関する分かりやすい切り口と、選択の仕方、そして見せ方は、プレゼンテーションで対象者を想定しインタラクティブに伝えるときでも、論文など文章で伝えるときでも参考になると思った。

松村 悠子/人間科学研究科

一方的に情報を与える側面の強いメディアにおいて、不特定多数の方に対して考えをわかりやすく伝えること、そして「超域」という概念を表現することの難しさを感じ、今後の活動の中で情報を発信する際に、その対象者に理解してもらえるよう注意をする必要があると感じた。また、司会者の方々の話術や場を盛り上げる工夫に非常に刺激を受け、今後活かしていきたいと感じた。

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