Texted by 経済学研究科 2012年度生 佐々木 周作 

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平成24年11月4日(日)、超域生はNHK-BS1「地球アゴラ」への出演の機会を頂き、出演の様子は大阪大学吹田キャンパスから生中継で放映されました。

「“超える”が社会を変える!」というテーマで、実際に型破りな発想で社会問題を解決している超域の実践者と超域生が議論。
型破りな発想で社会問題を解決したり、意外なアイデアで新商品を開発したりする先駆者たちと、既成概念を超える醍醐味や発想法について、ディスカッションを繰り広げました。

番組に出演させて頂くにあたり、出演する12名の超域生の中から企画・制作に関わる役割の担当者を決め、NHKや番組制作会社の方々と共に入念な準備を行い、本番を迎えました。
本番を迎えるまでの日々を振り返り、担当者としての奮闘、また、出演した12名の超域生からの感想をまとめました。


地球アゴラwith you @大阪大学
http://www.cbi.osaka-u.ac.jp/activity/71.html

地球アゴラ番組HP
http://www.nhk.or.jp/agora/
※アゴラとは古代ギリシャで‘広場’を意味する言葉。
「地球アゴラ」は世界に暮らす日本人とスタジオをインターネット結び、国境を超えて、様々なトークを繰り広げる番組です。


Report vol.1 「超域とテレビ」

「11月4日に放映されるNHK-BSの1時間番組に、
超域イノベーションとして出演しませんか?」

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 そんなお声がかかり、本番に向けて、制作担当者の方々との打合せをする機会が持たれたのは、ちょうどオーストラリアでの語学研修を終え、帰国してすぐの9月半ば頃だったと記憶している。自分自身の希望もあって、学生側の担当者として、企画・制作に関わる役割を担わせて貰えることになった。一生に一度はテレビに出てみたい、そんな興味本位がなかったと言えば嘘になるが、今回の番組出演を通して普段の超域イノベーションの講義では養われない力が鍛えられるのではないかという予感も当初から持っていた。

 超域イノベーション博士課程プログラムでは、異なる研究科所属の学生同士による双方向のディスカッションを授業の根幹に置いている。一方で今回出演することになったテレビ番組の形式も、学生同士、学生と司会者、そして海外の起業家の方々と、社会を変えるような革新的なアイデアについて話し合うというものだった。
 この共通点だけに着目すれば、普段から議論慣れしているだろう履修生にとって今回のテレビ出演はそれほど困難を感じないもののように思える。しかし準備を重ねていく中で、普段のディスカッションとテレビ番組でのディスカッションが大きく異なるものだということが強く認識されていった。
 まず、話しかける相手が違う。普段の講義では、基本的に顔を見知った間柄である先生方や履修生たちがその相手となる。彼らがどのような性格で、どのような反応をしやすいかといった情報は蓄積されているし、そもそもきちんと話を聞き合うという信頼関係が出来上がっている。しかし、テレビ番組ではそうはいかない。見かけ上、話しかける相手は学生同士、司会者の方々、海外の起業家の方々に限られているが、我々が真に内容を伝達すべきは顔も名前も分からない“誰か”である。彼らがどのような性格で、我々の話をどのように感じるのかを確認する術は持たない。

 自分自身の考えを発言する前に、これらのことを意識しなければならない機会は今までなかった。私自身が本企画に対して積極的になった理由は、1つとして、このように普段と異なる状況でも自分の考えを適切な形で伝達できる力を鍛えておきたいという思いがあったからである。そして将来、公的にも重要な役割を担うことが期待されている超域イノベーション履修生全体として、今回の機会を活かすべきだと考えた。

 当日までの準備は、比較的順調に進んでいった。
 番組の制作担当者の方は、我々の声に熱心に耳を傾けてくださった。どのような思いからこの超域イノベーションに参加しているのか、将来どのように活躍したいと思っているのか。昼夜関わらず、出演する履修生と直接電話やメールでやり取りしてくださり、東京のオフィスから大学まで足を運んでくださることもしばしばあった。
 先方としても、“超域”という非常に抽象的なコンセプトを、テレビ番組としてどのように捉えるかについて様々な困難があったと想像する。我々と会話をし、生の声を聞いていただく中で、先方にとっての“超域”像を固められたのではないだろうか。

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 本番が差し迫る中で、1つのシンプルな疑問が頭に浮かび上がってきた。

何を話せば良いのだろう?

 誤解を恐れずに言えば、当日扱われるトピックに対して、自分の考えを話すということについて、出演する履修生皆、問題なくできると思う。先に述べた新しく意識しなければならない点についても、自分なりに咀嚼しながら対応してくれるだろう。しかし、「超域イノベーションの履修生として出演する」ということの意味をどのように捉えれば良いのかが分からなかった。本番当日に自ら考えて発言した内容は自動的に“超域”のコンセプトを体現したものになるのだろうか。以上の疑問は、おそらく次の1つの問いに集約される。

“超域する”ってどういうことだろう?

 

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