TEXT BY 佐々木 周作
研究科:国際公共政策研究科
専攻:比較公共政策専攻
専門分野:オンライン寄付行動の実証分析

欧州プレインターンシップの実施内容と研究発表

 

  2013年5月19日 (日)、大阪大学で開催された第2回NPO研究フォーラムにおいて「日欧のオンライン寄付の現状―学術面・実務面の双方から」という題目のもと、今年3月に実施した欧州プレインターンシップの調査で判明した欧州の現状と、1月に実施したアンケート調査で判明した日本の現状、そして現在進めている実証研究の成果について報告を行った。
  当日は、大学等研究機関の研究者に加え、NPO法人で働く実務家、社会貢献活動に関心の高い一般の方を含めて40名程度の参加があり、報告後には多くの質問が寄せられた。

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  インターネット技術が充分に浸透した現在にあって、オンラインを通じた資金調達活動は活発になったと認識されているが、その全貌を捉えるために統計情報は乏しい。オンライン寄付の市場規模を正確に把握できる資料は世界どの国においても少ないこと、その中で実態を把握するための調査研究が少しずつ進められていることなどを紹介した。オンライン寄付手段が先行して浸透している英国では、人々の寄付行動を変える画期的な技術開発に積極的に資金を投じる方針にあることを、英国の内閣府にあたる機関が発行する「Giving White Paper」という資料をもとに発表した。オンライン寄付の実務面での盛上りを受けて、学術研究も始動しつつある。オンラインの大きな特徴の1つである、寄付者への情報提供が容易という点が寄付行動をどのように変えるのかという観点から私自身が行った分析の結果を報告した。

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  発表後には多くの質問が寄せられ、様々な分野の方に関心が高いテーマであることを実感した。日系の証券会社に勤める方からは、従来の資金調達活動との共通点についての質問があり、オンラインとはいっても家族、友人、同僚からの寄付が多いこと、あるいはファンドレイザーの近くに住む人が寄付する可能性が高いことを紹介した。京都大学でアフリカ研究に携わっている方からは、今回は欧州に関する報告が中心だったが、アフリカ地域やイスラムの寄付文化におけるオンライン寄付の特徴について調査することも興味深い可能性があるとのコメントがあった。
  頂いた質問、コメントをもとに、さらなる研鑽を積んで参りたい。

参考資料:日欧のオンライン寄付の現状―学術面・実務面の双方から